「万景峰92」号、ほぼ定刻どおりに新潟を出港 |
祖国と在日同胞を結ぶ貨客船「万景峰92」号の定期運航を求める同胞、総聯活動家たちのたたかい、それを支持する日本市民の声が高まる中、同号が4日午後1時20分、祖国訪問を終えた約120人の同胞らを乗せ新潟西港に入港した。同号は5日、約260人の同胞らを乗せ午前10時3分、ほぼ定刻どおりに元山港に向け出港した。一方で、日本当局の過剰な船の安全性検査「ポート・ステート・コントロール(PSC)」が行われた。また警察の厳重なる「警備」(総勢1700人)にもかかわらず「拉致家族を救う会」の腕章をつけた男を含む十数人が、検問所前で歓迎同胞が乗ったバスを蹴るなどの器物破損事件、「同会」関係者が埠頭で同胞に「殺すぞ」と脅し物を投げつける暴行事件が起きた。同号は16日と30日に入港し、いずれも翌日出港する予定だ。 心強い同胞の歓迎で不安も解消 4日午後12時50分、ターミナルから「万景峰92」号の姿がかすかに見えはじめた。約120人の同胞らが両手に国旗を掲げて「歓迎、歓迎、万景峰」とコールを送りはじめた。手を振り歓迎に応える乗客の姿も徐々にはっきりしてくる。 1時20分、同号の接岸後、親族との再会、墓参りをしてきた同胞らが下船を始めた。 息子と2年ぶりに再会してきたという広島在住の女性(77)は、「『抗議団体』も来ていたので不安もあったが、同胞らが温かく迎えてくれて心強かった」と言う。 弟に会うため毎年6月に乗船しているという神奈川在住の女性(65)は、帽子にサングラス、マスクといういで立ちで下りてきた。日本のマスコミに撮られるのを避けるためだ。「こんな情況で駅まで安全に行くことができるのか」。 一方、ターミナルで同胞らとともに寄港を歓迎していた吉田正雄氏(元衆院議員)は、「不審な船でないことはすでに明らかになっている。国交のない朝鮮と日本を結ぶ友好のかけ橋である同船の役割は、今後さらに増してくるだろう」と述べていた。 同号は5日午前10時3分、約260人の同胞たちを乗せ、同胞らに見送られる中、出港した。 朝青埼玉県本部の姜宗福さん(22)は、「日本のマスコミは何の問題もない同号のことばかりあきれるほど報道している。あらゆる妨害が繰り返し行われる中でも今回、同胞らが安全に下船、乗船できたことで、あらためて総聯の団結力を示した」と話していた。 「再入国許可書」偽造有無まで捜査 日本政府は再び船の検査を実施した。 前回入港時の検査には24人の外国船舶監督官が動員された。それについて鳥取県境港市の日本の貿易業者はこう語る。 「24人とは異常な人数だ。大型船の場合でも4〜5人が通常。朝鮮の船舶に対しては全船へのPSC実施が通達されている。検査の『技術基準』はグレードが高く、かりに日本の船舶もそのレベルで実施すれば改善を求められる船も出てくる。同号に命じられた5つの改善内容(運航には支障のないこと)は、通常なら口頭で処理されるもので、嫌がらせとしか思えない」 前回は過剰な検査により出港は9時間も遅れた。今回の検査には9人の監督官が乗船。午後5時、指摘部分が改善されているのが確認された。 さらに日本政府は入国審査の際、祖国訪問を終えた同胞らの「再入国許可書」が偽造かどうかを調べる異常な行為まで働いた。 日本当局の意図的、かつ露骨な行為が繰り返され、「救う会」関係者による事件も続いたが、今回の寄港を機に、「万景峰92」号の定期運航はスムーズに保障されるべきだ。【新潟発=羅基哲記者】 (関連記事) [朝鮮新報 2003.9.6] |