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〈浮島丸事件真相究明平壌討論会〉 北南、海外の団体、研究者ら一堂に

 【平壌発=姜鐘錫、李松鶴記者】北南、海外の参加者が一堂に会して9月29日、「浮島丸事件の真相究明のための平壌討論会」が開かれた。討論会は北南、海外が共同で、浮島丸事件をはじめ強制連行や「従軍慰安婦」問題など、日本が朝鮮民族に対して犯した罪の清算を改めて求めていくきっかけとなった。

 討論会ではまず、朝鮮の日本軍「慰安婦」及び強制連行被害者補償対策委員会の洪善玉委員長が基調報告を行った。洪委員長は、「浮島丸」事件が機雷による偶発的な事故ではなく、日本軍部による計画的で意図的なねつ造であったとする根拠について具体的に言及しながら、日本が「浮島丸」を爆破したのは「大東亜共栄圏」の野望を達成できず、敗北した腹いせ、仕返しを、数千人の朝鮮人を殺害することで行おうとしたと指摘。また、自らが敢行したあらゆる非人道的蛮行が世界に知れ渡ることを恐れて、生き証人である朝鮮人被害者を抹殺する方法で犯行を隠蔽しようとしたと述べた。

浮島丸事件真相究明平壌討論会に参加した朝鮮人強制連行真相調査団

 また、事件に対する徹底的な真相究明、国家的責任によって被害者と遺族に対する謝罪と補償、事件に関与したすべての犯罪者の処罰、遺骸の捜索と身元確認、安全な送還―のための実質的な対策を講じるよう日本政府に要求した。

 つづいて、社会科学院歴史研究所室長のコン・ミョンソン博士、副教授のリ・チョルホン博士(北)、浮島号爆沈真相究明会のチョン・ジェジン会長、韓国精神文化研究院特別研究員の鄭恵瓊博士(南)、朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長(海外)らが具体的な資料に基づいて日本の過去の犯罪を暴露した。

 彼らは日本が過去の清算をわい曲する限り、「敗戦」の傷を癒すことはできないとしながら、軍事大国化、右傾化に進む最近の動きに警鐘を鳴らした。

 討論会では北側から3人、南側から1人の強制連行被害者が証言した。1944年5月に日本に連行され、北海道の小樽から輸送船「太平丸」で千島列島に向かう途中、米軍の魚雷で沈没、九死に一生を得たファン・ジョンス氏(76)、44年9月に徴兵で日本に連行されたキム・ヨンゴル氏(77)の証言は、日本の残忍さを十分に見せ付けた。

 強制連行者のペク・チェイン氏(76、北)とペク・スイン氏(81、南)は62年ぶりに再会を果たした。涙を流し再会を喜び合う両人の姿に、参加者からは大きな拍手が沸き起こった。

 討論会では日本政府に送る手紙が採択された。

 手紙は、@歴史の闇に葬られた「浮島丸」事件の真相を調査究明するための措置を各方面から取り調査資料を全面公開するA犠牲者の身元確認作業と遺骨の引渡しを誠意をもって解決するB調査確認された資料に基づき責任ある者を法的に厳格に処罰し、被害者と遺族に謝罪し納得する補償を行うC加害者としての罪の意識と責任感をもって被害者であるわが民族を敵視するあらゆる行為を即時中止し過去の清算を公約した朝・日平壌宣言の基本精神を尊重し誠実に履行するための実践的な措置を講じること―を要求した。

 討論会では朝鮮人強制連行真相調査団が地道な努力の結果、発見した新たな資料を公開した。

 日本政府が連合国最高司令官総司令部(GHQ)に提出した浮島丸爆沈事件に関する報告書(1950年2月28日)がそれで、当時すでに日本政府は真相究明はおろか遺骨収集すらせずに、「朝鮮側」が「賠償要求を提起してもこれを容認することはできない」との結論を出していた。

 この資料を討論会で発表した真相調査団の洪事務局長は、「今回の発見を機に日本政府に徹底した資料公開と真相究明を求めていきたい。日本政府は敗戦後、相手国の弱点を利用して過去清算に関する交渉を行ってきた。朝鮮に関しては分断を利用してきたが、朝・日平壌宣言後は拉致問題に固執している。北と南、海外が力を合わせ日本の蛮行を追及していくきっかけになれば」と語った。

浮島丸事件平壌討論会共同声明

[朝鮮新報 2003.10.2]