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〈03’世界柔道〉 世界選手権V2のケ・スンヒ、前人未到の3階級制覇

 柔道の03年世界選手権大会が11〜14日、大阪市内の大阪城ホールで行われ、朝鮮のケ・スンヒが女子57キロ級で見事優勝(13日)、柔道界前人未到の世界大会3階級制覇の偉業と大会2連覇を達成した。ケは同時に大会最優秀選手(ベスト柔道家=男子は日本の井上康生)にも選ばれた。大会には97の国と地域の選手約600人が出場し、男女7階級に分かれ勝敗を競った。朝鮮からは男子4人、女子3人が出場。女子52キロ、57キロ級、男子60キロ級の3階級で、来年のアテネ五輪の出場権を獲得した。また、在日同胞の金泰義(近畿大)が朝鮮代表として世界選手権に初出場。朝鮮は国別メダル獲得数でも6位に入賞した。14日には総聯中央の許宗萬責任副議長が来阪し、ケ・スンヒの優勝を祝賀した。一方南朝鮮は、男子60キロ級で崔敏浩、73キロ級で李杬熹、90キロ級で黄禧太がそれぞれ優勝した。

闘志むきだしに

ベリー(ドイツ)選手との決勝戦

 16歳の時、アトランタ五輪(96年)で彗星のごとくデビュー、世界最強を誇る日本の田村亮子を負かし、朝鮮の女子柔道界に初の金メダルをもたらしたケ・スンヒ(24)は今大会、世界大会では初となる57キロ級に出場した。アトランタでは48キロ級、前回(01年)の世界選手権(ミュンヘン)では52キロ級でそれぞれ優勝。柔道界初の世界大会3階級制覇をねらうケが一つ上の階級で果たしてどのような柔道をするのか。関係者の間でも注目された。

 結果は全試合一本勝ち。圧倒的な強さで、世界にその力を見せつけた。全5試合のうち、取られたポイントは有効と指導のそれぞれ1個ずつだけ。

 決勝戦を前に、互いに優勝を誓い合った同僚のリ・サンシムが3位決定戦で敗れた。ケの決勝の相手と同じドイツの選手だった。それだけに、リの敗退を目のあたりにしたケは闘志をむき出しにした。

 今大会、ケの技は切れまくった。それを象徴するかのように決勝でも肩車、横落としで有効と効果をとり、最後は大腰で技あり。そのままおさえ込むと、相手の「参った」で一本勝ちした。

自分自身に勝つ

表彰台で手を振るケ・スンヒ選手

 「金正日総書記に勝利の報告をできてとてもうれしい。応援してくださった在日同胞のみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいです」

 優勝後、ケは感極まった声で語った。

 「努力はけっして裏切らない」という言葉をこよなく愛し信じてきたケは、相当なプレッシャーの中で大会に臨み、見事快挙を成し遂げた。

 在日本朝鮮人柔道協会の玄昌貴会長は、「状態はけっしてよくは見えなかったが、気力と精神力で勝利をもぎ取った。今回階級を1つあげての出場だったが、心技体のすべてにおいて一段とパワーアップした」と勝因を分析した。

 ロサンゼルス五輪金メダリストで、釜山アジア大会ではケと一緒に聖火ランナーをつとめた南朝鮮の河亨柱氏はこう語った。

 「精神力でもぎ取った勝利でもあるし、アトランタ五輪以降、彼女の柔道人生が集大成された勝利だ。自分自身に勝った勝利にも見えた」(文=千貴裕記者、写真=文光善記者)

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[朝鮮新報 2003.9.18]