W杯予選に朝鮮代表として出場した李漢宰、安英学選手 |
【平壌発=姜イルク記者】既報のように、朝鮮が世界サッカー選手権(2006年W杯ドイツ大会)アジア地区1次予選を突破し、最終予選に駒を進めた。これには、在日同胞選手が大きく貢献した。13日の対イエメン戦で李漢宰選手(サンフレッチェ広島)は先制点を挙げ、安英学選手(アルビレックス新潟)は2点目をアシストした。来年2月から始まる最終予選を見据え、「次回は必ずアベックゴールを決める」と決意を新たにしていた。 大きな重圧はねのけ
李漢宰選手は国歌斉唱が行われたとき、自分が国家代表として出場していることをさらに実感したという。そして試合開始1分、右からのセンターリングをゴール右隅にヘッドで決めた。「実は、あまりの緊張で、国歌斉唱からはあまり覚えていない。ゴールは10分から15分くらいかと思っていた」。 李漢宰選手はW杯予選への参戦は初めて。「大切な一戦にスターティングメンバーとして出られるということは、光栄であり素直にうれしかった」という。が、チームに合流した当初は、朝鮮国内の選手らの冷ややかな視線を感じたという。 李選手や安選手、在日の関係者らは、国内の選手の技術は申し分ないと口をそろえる。とにかく基礎がしっかりしているという。そんな国内選手らだけに、外部からいきなりやってきてポジションを奪われることに対して反発することは、十分に理解できたという。 李選手は、「勝負の世界は結果のみ。信頼を得るためにも結果がほしかった。結果を残せたことはとても大きい」と振り返った。 一方、安選手は先のタイ戦(9月8日)に出場し、先制点とだめ押しの4点目を挙げた実績を残している。それでも、「結果を残さないとレギュラーポジションからいつ外されるかわからない」というプレッシャーの中で活躍し、結果を残した。 海外プレーヤーが起爆剤
とはいえ2人の選手は、国内の選手らと打ち解けるのに時間はかからなかった。李選手は2002年の釜山アジア大会に朝鮮代表として、安選手は同年9月ソウルで行われた北南統一サッカー大会の北側代表として参加したことがあるので、知り合いの国内選手が多数いたという。9日平壌入りした両選手は、試合の3日前からチームに合流して、戦術協議やトレーニングを消化した。 同行した在日朝鮮人サッカー協会役員によると、日本のトップレベルのチームで活躍する選手らとあって、国内選手にとって大きな刺激になったという。ポジション争いはもちろん、日本での技術、戦術を習おうとする姿勢が顕著に現れていた。 李漢宰選手は、幼い頃から在日の国家代表として活躍した金鍾成選手(現在、在日本朝鮮人蹴球協会技術部)にあこがれ、国家代表としてW杯に出場することを夢見てきた。安選手ももちろん、W杯出場を夢見てきたという。それが今、夢ではなく現実の目標となっている。 安選手は、「次回はアベックゴールを決める。そう漢宰と約束した。遠い目標だが、ひとつひとつ勝利に貢献し、ドイツに行きたい」と語った。 李選手は、「日本や南朝鮮に勝つためには、もっとレベルを高めないと。練習を重ね、精神力と技術を兼ね備えていきたい」と決意を新たにした。 (関連記事) スポーツ報知 李選手の活躍伝える、「広島に北朝鮮代表の超新星!」 [朝鮮新報 2004.10.21] |