公益的な目的に利用

　総連新潟県本部会館と祖国往来記念館に対する固定資産税および都市計画税減免撤回を不当として、総連県本部と祖国往来記念館管理会が新潟市を相手に起こした訴訟の第２回口頭弁論が１１日、新潟地方裁判所で行われた。

　総連側弁護団はこの日、県本部会館と記念館建物が公益的な目的のために利用されている点を詳細に述べた準備書面（別項）を提出した。また、総連結成５０周年に際して発行された冊子「朝鮮総連」を証拠資料として提出した。

　書面では、両建物の利用状況について、朝鮮会館の１〜４階がどういった目的でどのように利用されているか、祖国往来記念館の１〜４階がどのように利用されているか、倉庫部分が何のために利用されているのかを、具体的に説明している。

　書面はこのようなことから、「本件不動産はいずれも地域同胞のための公民館類似の公益的施設として、また、祖国訪問に関する各種事務手続等や待機のための施設として、専ら公益のために使用されている」と主張している。

　さらに、被告である新潟市も、建物の一部については減免を認め、公益性を部分的に承認しているとも指摘している。

　書面は、祖国への往来者が相当数に上ることを考える時、待機場所、各種手続や遵守事項の周知徹底のためには相当広い施設が不可欠であるとして、「事務室内におけるパスポート発給の公益性を承認するなら、これに付随する事前説明、手荷物受け入れ検査業務、旅客の待機のために使用される祖国往来記念館についても全面的に公益性を承認すべき」だと述べている。

　５月２３日に行われた第１回口頭弁論では、総連新潟県本部の李主�R委員長が陳述した。

　李委員長は、朝・日間に国交がない状態で、総連が日本国民との友好親善のための外交代表部格の使命と役割を果たしている点を強調。両建物の業務内容について、６つに分けて詳しく説明した。

　さらに、「拉致問題で市民感情が悪い」との根拠で税の減免を突然撤回したことに疑問を呈したうえで、「税とは市民感情がよくなれば徴収せず、悪ければ徴収するものなのか。当会館に対する減免措置が実施された時から、今日にいたるまで法律上何ら変更もなく、またわれわれの活動内容においても何ら変わりない」との点を強調した。

　委員長は、市当局の課税処分が、理不尽な政治的意図を持ったものであることを指摘していた。

　県本部と記念館管理会が訴訟を起こしたのは３月２５日。歴代の新潟市長らは、県本部と記念館に対して、１９８２年頃から朝鮮の在外公館にあたるものとして、また日朝両国の親善友好関係に資する施設と認め、新潟市税条例第６７条１項２号の「公益のために直接専用する固定資産」に該当するとして、固定資産税等を減免してきた。

　ところが２００３年度に突然減免を撤回。０４年には、減免を改めないばかりか、記念館管理会に対する減免割合を著しく低下させた。

　総連県本部などは同処分を不服として、昨年６月、市に対し異議申し立てをしたが、１２月に棄却された。（文聖姫記者）

新潟地裁に提出した準備書面

［朝鮮新報 2005.7.15］