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神戸 多民族共生教育フォーラム パネルディスカッションから

 神戸市で行われた「多民族共生教育フォーラム・2005」では各外国人学校からの発表に続き、パネルディスカッション「私たちの共同課題は何か」が行われた。学校運営における課題、制度改善のためにともに取り組めることは何か−。各学校が置かれた現状や運動の経験を持ち寄り、課題を探った。

ニューカマーは切実

パネルディスカッションではこれからも連携し、共同課題を探っていくことが強調された

 フォーラムでは各外国人学校が抱える問題が次々と発表されたが、とりわけパネラーを務めたブラジル人学校協議会のパウロ・ガルヴォンさんの訴えは切実なものだった。

 パウロさんは、ブラジル人学校の多くは解放直後の朝鮮学校がそうだったように個人の家から始まった所もあり、その多くが会社形態であると述べ、「経済的な資金、物理的なスペースの問題は深刻だ」と話した。

 具体的には制度が変わり、子どもの送迎用バスをディーゼル車から普通車に変えなければならず、ガソリン代捻出に苦労していること、会社形態で運営しているため税金を徴収されることなど、本来「学校」であれば免除される経費が運営を圧迫している窮状を語った。さらに経済的な事情から教職を離れる教員が多い実態、保護者が転職する際に子どもの教育問題が後回しされ、教育の継続性が保障されない問題をはじめ、教育の現場を取り巻く在日ブラジル人社会の問題にも踏み込んだ。

 パウロさんは、「日本政府は事態が深刻にならないよう教育の内容を見て欲しい。税金を納めることに関しては日本人と同じである私たちに利益を得る権利はある」と主張。「様々な外国人学校が共通の問題点を共有し、対策を考える機会を設けよう」と強く訴えた。

自治体は真剣

多国籍の子どもが学ぶマリスト国際学校。26日には兵庫県にある外国人学校の訪問見学があった

 ブラジル人学校が抱える問題は、朝鮮、韓国、中華をはじめ日本に長い歴史を持つ外国人学校が過去にぶち当たった問題でもある。

 とりわけ日本政府によって強制的に学校を閉鎖された朝鮮学校は、その後二度と閉鎖という悲劇を繰り返さない知恵として各種学校認可を得るための運動を展開。日本政府は認可を認めないよう都道府県知事に通達を出したものの、1975年までに朝鮮学校が所在するすべての都道府県は独自に判断し、認可を与えた。学校法人認可を取得したことで自治体からの助成金も獲得できるようになった。全国でトップレベルの助成金を支給している兵庫県は、外国人学校を「学校教育法1条校に準じた学校」として位置づけ、助成の充実に取り組んでいる。

 田中宏・龍谷大学教授は、昨年3月に静岡県が各種学校の認可要件を緩和し、浜松市の「ムンド・デ・アレグリア」が南米系外国人学校として初めて各種学校認可を取得したことに触れ、「ニューカマーの学校は各種学校というチャンネルを使うことで朝鮮学校が切り開いてきた助成金や通学定期券が適用される。このことは運動の中で大事な点だ」と意義付けた。そして、自治体が外国人学校の問題に真剣に取り組んでいることが、課題解決の追い風になると強調した。

現状を打破するには

 大学受験資格問題を通じて外国人学校が抱える問題は広く認知されたものの、国庫補助、卒業資格、免税措置、通学定期券、学校保健など学校として認可されなければ本質的な問題は解決されない。

 日本が加入している国際人権諸条約は、マイノリティの「民族教育権」を積極的に保障することを求めている。パネルディスカッションでは、「日本の外国人教育政策のどこに違法性があるのかを法廷で突き止めていくことが必要」など具体的な運動の提案も活発になされた。

 フォーラムで発表された集会宣言は「学校認可」という大きなゴールに向けた活動指針になる。「直面する問題を解決するためには連携しかない。私はこれをよりよい社会を築く挑戦と考える」(パウロ会長)、「各地域で外国人学校の輪を広げ、宝石のような団体を目指そう」(林会長)。関係者の熱気で満ちあふれたフォーラムは、「学校認可」というゴールに向けた新たな運動を予感させた。(張慧純記者)

多民族共生教育フォーラム集会宣言

各地の発言から

[朝鮮新報 2005.10.5]