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朝・日政府間会談 過去清算など3つの懸案論議

 【北京発=金志永記者】朝・日政府間会談が4日から8日まで北京で行われた。朝鮮と日本との国交正常化会談は、朝・日平壌宣言発表直後の02年10月にクアラルンプールで開かれて以来3年3カ月ぶり。昨年12月の副局長級接触での合意を受けて、過去の清算問題、安全保障問題、拉致問題を含めた懸案問題の3つの議題別に話し合われた。会談には宋日昊・外務省朝・日会談担当大使を団長とする朝鮮側代表団と、原口幸市・外務省日朝国交正常化交渉担当大使を団長とする日本側代表団が出席した。会談初日の4日、全体会議が行われ、双方は平壌宣言履行の姿勢を堅持し会談に臨むことで合意した。8日に行われた全体会合で朝・日双方は政府間会談の継続を確認し、次回の日程に関しては外交ルートを通じて調整することになった。

過去の清算−「一括妥協方式」は不十分

3年3カ月ぶりに開かれた朝・日政府間会談初日の全体会合(4日、北京)

 6日、双方代表団の団長である宋日昊大使と原口幸市大使の参加のもと、過去の清算に関する協議が行われた。朝鮮側は、平壌宣言に明示された経済協力問題、在日朝鮮人の地位問題、植民地時代の略奪文化財の返還問題に関する見解と立場を明らかにした。

 日本側も、植民地時代に朝鮮人民に多大な損害を与えたことについて反省と謝罪の意を表し、平壌宣言に従い「必ず過去の清算を行う」と発言した。

 会談ではまず日本側が、経済協力問題と関連して、日本の政府開発援助(ODA)の制度と運営方式、過去の実績について説明し、過去の清算をこのような「一括妥結経済協力方式」によって進めていく意向を示した。

 これに対し朝鮮側は、植民地時代の強制連行や「従軍慰安婦」問題などは財産および請求権とは別個に扱われるべき問題であると主張。したがって日本側が主張する「一括妥結経済協力方式」は、それだけでは不十分な方式であるとの見解を示した。

 また、在日朝鮮人の地位問題を過去の清算問題の重要な柱の一つにあげ、これと関連して日本側が解決すべき諸問題について言及した。

 在日朝鮮人に対する差別が依然として残っている日本の現実について指摘した朝鮮側は、二度にわたる小泉首相の訪朝以降も在日朝鮮人を取り巻く状況が改善されるどころか、逆に悪くなっていることを問題視した。

 朝鮮側はまた、日本の植民地政策に起因する在日朝鮮人問題を他の在日外国人問題と同一視すべきではないと強調し、民族教育に対する制度的保障、在日一世に対する救済、在日朝鮮人の生活と安全を脅かす不当措置の撤回等の対策を早急に講じるよう強く求めた。

 略奪文化財の返還問題に関しては、現状返還の原則に従い解決されるべきだと指摘し、損傷した遺跡などは復旧が必要であることと、跡形もないものについてはどのような形態であれ補償が必要との立場を明らかにした。

安全保障−6者復帰、「米に環境整備求めよ」

 7日午前に行われた核、ミサイルなどの安全保障問題に関する会談には、朝鮮側から鄭泰洋・外務省米州局副局長ら、日本側からは山本忠通・外務省北朝鮮核問題担当特命全権公使らが出席した。

 朝・日政府間で安全保障問題を単独の議題として扱う公式会談が開かれるのは今回が初めて。

 関係者によれば、朝鮮側はほかの分科と同様、安保問題に関する分科会談においても、平壌宣言の精神にしたがい「するべき話をした」。

 「6者会談への復帰」を求める日本側に対し朝鮮側は、核問題の解決を困難にしている米国に対して「会談再開への環境整備を求めるべきだ」と応じ、日本側の主張を一蹴した。

 会議終了後、朝鮮側関係者は、朝・日政府間で安保問題に関する協議が実現した意義を認めつつも、「依然として朝・日間で安全保障問題を単独の議題として扱う前提も背景もない」との見解を明らかにした。さらに、「日本が自国の安保をそれほど重視するのなら、平壌宣言を履行し朝鮮との関係改善を実現させる方向へと進むのが当然」と語った。

拉致など−「遺骨」の解決なしに進展ない

 拉致問題を含めた懸案問題に関する協議は全体会議翌日の5日に行われた。

 朝鮮側から金哲虎・外務省アジア局副局長ら、日本側から梅田邦夫・外務省アジア大洋州局参事官らが出席した。

 午前から始まった会談は、休憩を挟み、夕方まで約9時間にわたり行われた。

 日本側は、「拉致問題はわれわれにとって最大の関心事」(梅田参事官)だとしながら、今回の政府間会談の焦点を拉致問題に合わせる議論を展開した。

 会談の席上、日本側は「生存者の帰国」「真相究明」「拉致実行犯」の引き渡しなどを朝鮮側に求めた。

 協議終了後、朝鮮側関係者は、国交正常化会談で具体的な進展をもたらすためには、「拉致問題の解決」を国交正常化の前提条件にしている「日本側が従来の立場から転換しなければならない」との見解を示した。

 会談では朝・日双方が「拉致」問題と関連した互いの見解と立場を明らかにしたが、長時間の協議を通じても互いの相違点は解消されなかった。

 拉致問題に関しては、日本側の強い要望により、7日午後に2回目の協議が行われたが、1時間半という短時間で終了した。

 拉致被害者に関する「再調査」の実施など、前回協議と同様の要求を繰り返す日本側に対し、朝鮮側も横田めぐみさんの「遺骨問題」の真相解明が先決だとする立場で一貫した。

 朝鮮側は、双方に根本的な見解の相違が横たわっている「遺骨問題」の解決なくして、「拉致問題の進展」をうんぬんすることはできないと主張。「遺骨の返還」や「鑑定人との面談」など、真相を明らかにするための実質的な手続きを踏むよう再三にわたり日本側に求めた。

そこが知りたいQ&A−朝・日会談が3年余ぶりに開かれたが

[朝鮮新報 2006.2.10]