熊本朝鮮会館問題 考える市民の会が集会 |
「『加害者』がいつのまにか『被害者』」
熊本朝鮮会館問題を考える市民の会(古沢千代勝代表)による主催で8月28日「平和憲法と朝鮮会館問題」と題した上映会及び討論会が熊本朝鮮会館で行われた。 この日、上映された朝鮮人強制連行の記録映画「過去を忘れるな」は日本全国を回り在日1世から証言を聴取した事実記録集で、丹那トンネル工事や松代大本営造成にかりだされた1世たちの「知られざる」過去が収録されている。 映画を見た20人の参加者たちは、一様に「知らなかった」とショックを隠しきれない様子だった。 つづいて行われた討論会でも「テレビではわからなかった悲惨な事実を知り胸が痛む」「在日の方の犠牲の上で日本の繁栄があるとは考えもしなかった」「今までの自分の考えが本当に正しかったのか」「平和のため、自分の国を愛するためにも過去に目を背けてはいけないと思った」などの感想が述べられた。 また、拉致問題から急に歴史が始まったような錯覚に陥るがこれは背景を見失っている、拉致と在日朝鮮人を結びつけることはまちがった解釈である、在日、とくに児童、生徒たちがとてもひどいバッシング、迫害を受けているが、このようなことが許されていいのかといった活発な討論が行われ、一市民として朝鮮会館に通いたいとする意見も寄せられた。 同会役員の永好和夫氏は「『在日朝鮮人問題』とは在日の問題ではない。日本人の問題なのだ。これを無視し、『加害者』がいつの間にか『被害者』になろうとしている」と厳しく指摘した。 この日、参加者たちの中から「何ができるだろう」「どうすればよいのだろう」といった声が多く上がった。 この声に賀來宏事務局長は「知ることから始めよう。朝鮮会館を訪れることがその第一歩」と答え、在日朝鮮人に対して「失望せず、絶望せず元気を出して欲しい。いつでもそばにいる。なにがあろうと在日のみなさんと共に歩んでいく」とエールを送っていた。 市民の会による集いは毎月第4月曜日に行われている。同会は今後一人でも多くの参加者を募り会館利用の実績を上げるとともに、熊本朝鮮会館の課税減免訴訟と市長選挙を積極的にバックアップしていく方針である。(鄭尚丘記者) 【熊本市長選挙】 任期満了に伴う11月の熊本市長選挙には現職の幸山政史氏、元県総務部長の佐藤達三氏、元参議院議員の本田良一氏(50音順)が出馬を表明しており、7月30日に行われた公開討論会のなかで取り上げられた熊本朝鮮会館の課税減免訴訟に関して佐藤氏は、市敗訴の福岡高裁判決は非常に重みがあり課税すべきと主張、本田氏も税の公平さを考えても減免はおかしい、市長になったら上告を取り下げるとしている。これに対して共同のまちづくりなどをこれまで以上に進め、個性豊かな都市にしたいとする幸山氏は、朝鮮会館の利用状況を把握した上で減免している、拉致問題やミサイル発射とは異なる問題だと述べている。 (関連記事) [朝鮮新報 2006.9.12] |