〈金剛山歌劇団・南朝鮮特別公演〉 大盛況のうちに幕 「日本で民族舞踊守る姿に拍手」 |
「6.15時代」示唆する芸術の舞台
6.15共同宣言6周年を記念した金剛山歌劇団(洪嶺月名誉団長ら総勢70人)の南朝鮮特別公演が4日、京畿道文化の殿堂、7〜8日ソウルオリンピックホールでそれぞれ行われ、大盛況のうちに幕を閉じた。計3回の公演に約5100人の観客が足を運び、舞台の優雅さに魅了され、「すばらしい」「来年も見たい」と感嘆の声をあげた。公演実行委員会(委員長=ウリ党、姜惠淑国会議員)に政界、文化、芸術界から多彩な人士が顔をそろえた。今公演は「6.15時代」「統一時代」の到来を大きく示唆する一方、北、南、海外の音楽家、芸術家が一つになり、新たな民族音楽、芸術の境地を切り開いていこうとする息吹を感じさせるものだった。
「お客さんの反応がいいのがとても新鮮だった」−公演終了後の団員たちの声だ。 水原、ソウル(2回)でのフィナーレでは毎回スタンディングオベーション。最終日の公演では感激のあまり涙する団員もいた。 今回、舞台にあがった作品のほとんどが初演。過去、南公演で行われた作品とは少し違った「香り」を見せていた。主管の「(株)Esprit(エスプリ)」など公演関係者らと金剛山歌劇団側が何度も話し合い演目を決めた。そこには「Esprit」のリ・チョルチュ代表理事(44)の深い思いがある。「若い世代に見てもらえる公演を意識した。若さあふれるレパートリー、民族楽器と管弦楽の演奏での朝鮮舞踊など、普段、南で見ることのできない芸術作品を見せたかった」。
1部では主に器楽演奏の「オンヘヤ」やチャンセナプ演奏など古典と現代音楽を調和させ、北側で親しまれている歌謡を重唱や独唱で聞かせた。ラストはドラムとチャンゴの演奏、舞踊とサンモで舞う優雅なパフォーマンスで観客を魅了する「チャンゴの舞」。ここで会場の雰囲気は最高潮に達する。その余韻に浸る間もなく、「15分間の休憩」のアナウンスが流れるとため息まじりの声が会場を包んだ。 2部は朝鮮舞踊の9作品が披露され、群舞「カゴパ〜鳥のように」、男性双舞「朝鮮将棋の舞」、群舞「箕の舞」、独舞「荒波を越えて」、3人舞「ハナ/ひとつ」などが舞台に上がった。 金剛山歌劇団演出家の金宰鉉さんは当初、「(2部の演目は)北側バリバリのもので南の市民に受け入れられるのか心配だった」と一抹の不安感をのぞかせていた。しかしふたを開けてみると、割れんばかりの拍手と大歓声。「観客の反応がストレートでとても乗りがいい。2000年6.15以降の同じ民族の一体感を体で感じた」。 金さんと共に仕事した舞台監督のカン・ヒョノさん(28)は、「日本から来た同胞なのに昔から一緒に仕事してきた人たちのように身近に感じたし、初めて見る公演を本当に『自分たちのものだ』と感じた」とほほ笑んだ。 崔承喜創作「荒波を越えて」が南で初演 「完璧に復元された舞踊」
「東洋の舞姫」と呼ばれた伝説の舞踊家・崔承喜が1949年に創作した「荒波を越えて」。「済州島4、3事件」に衝撃を受けた崔承喜の作品が、南で初演されるとあって注目を集めた。 南のテレビ局のYNTは、「忘れ去られた踊り復元の舞台」と題し、金剛山歌劇団の今回の公演で崔承喜の舞踊が再現されると放送した。舞踊部長の姜秀奈さんがテレビ取材のインタビューに答え、「民族の至宝・崔承喜先生の踊りをわれわれが受け継ぎ、南の同胞たちに見せられることは感無量」と話した。 ソウルで活動する舞踊家で舞踊学博士のキム・ウンハンさんは、崔承喜の研究で有名な人だ。公演観覧後、「『荒波を越えて』は49年時そのままで完璧に復元されていた。『カゴパ』『平鼓の舞』、チャンセナプ演奏の『烈風』はとてもレベルが高く、印象深かった。日本で民族舞踊を守り続けてきた歌劇団はじめ在日同胞みんなに心から拍手を送りたい」と感想を述べていた。(金明c記者) (関連記事) [朝鮮新報 2006.6.15] |