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6者会談控え朝米金融協議 BDA問題など制裁解除問題論議

 金融制裁問題を論議する朝米実務協議が1月30、31の両日、中国・北京で行われた。

 朝鮮と米国の金融担当者による直接対話は今回で2回目。昨年末の6者会談で朝米両国は、金融制裁解除問題を論議する専門家協議を行った。

 今回の実務協議には、朝鮮側から呉光鉄・国家財政委員会副委員長、米国側からダニエル・グレーザー財務副次官補が参加した。北京にある米国大使館と朝鮮大使館で行われた実務協議には、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」問題など、朝鮮に対する米国の金融制裁解除と関連する一連の問題が論議された。

 1年以上中断されていた6者会談が昨年12月に再開され、米国の金融制裁を敵視政策の集中的な表れとして見なす朝鮮は、米国が金融制裁を解除しこれ以上拡大しない姿勢を示すことで、9.19共同声明に記されている非核化公約履行討議に入れる雰囲気を作らねばならないと主張している。

 今回2回目となった朝米金融実務協議は、北京で8日から行われる6者会談を控えて行われた。

 実務協議後、米国側のグレーザー財務副次官補は、朝鮮側との協議が「生産的だった」とし、「(金融制裁解除問題に対する)ある種の解決策を提示し進展に向け動きはじめる状況に達したと思う」と述べた。

経緯と朝米対立の構図 ネオコン勢力の資料が発端?

 先月30〜31日、北京で金融制裁問題に関する朝米協議が開かれた。直後に開催される6者会談の進展にも直結すると見られているだけに、協議の行方に関心が集まった。1月中旬のベルリン朝米接触以降、問題の解決へ向けた「肯定的な変化」が伝えられている。一方、米国は今に至るまで制裁の具体的な根拠を示してこなかった。ドイツのFAZ紙が、偽ドル札の出所は米CIAの可能性があると報じるなど、制裁の正当性に疑問を呈する声も広がっている(別項)。金融制裁発動の背景と経緯、制裁問題をめぐる朝米間の対立の構図と双方の主張、制裁解除と関連した最近の動きなどをまとめた。

強硬派の意向が作用

「スーパー・ノート」 [写真=聯合ニュース]

 米財務省は05年9月15日、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)を「マネーロンダリング(資金洗浄)の主要懸念先」の金融機関に指定した。また、「愛国者法311条」に基づく特別措置として、全米の金融機関にBDAとの取引を禁止した。第4回6者会談第2ラウンド(13〜19日)が再開されてから2日後のことだ。同会談で共同声明が発表されたが、米国の圧力により28日にはマカオ政府がBDAを管理下に置いて、総額約2400万ドルにのぼる50の朝鮮関連口座を凍結した。

 この一連の措置が、現在朝米間で解除問題が論議されている、米国の対朝鮮金融制裁と呼ばれるもの。

 米財務省は10月21日、「大量破壊兵器拡散関与」を口実に朝鮮企業8社の資産を凍結、その後も朝鮮に対する各種制裁をエスカレートさせていった。

 9.19共同声明発表によって好転するかに見えた朝鮮半島情勢だが、突如として発表された金融制裁に朝鮮側は強く反発、6者会談の進展にはブレーキがかかった。その後、ミサイル発射訓練や核実験など情勢は一気に緊張の度合を高めることになった。

 この時期に、なぜ金融制裁問題が持ち上がったのか。

 第4回6者会談第1ラウンド(05年7月26日〜8月7日)の開催日程がほぼ決まった7月頃から、偽ドルなど「北朝鮮による犯罪行為」に関する報道が米国メディアを中心に流れ始めた。9.19共同声明発表とほぼ同時に米国は金融制裁を発動したわけだが、情勢の進展に冷や水を浴びせるように制裁に踏み切った背景には、「金融制裁の立案者」とされるデビッド・アッシャー前国務省東アジア太平洋局上級顧問(北朝鮮作業班調整官)が作成した、「北朝鮮の国際的不法行為」に関する資料があると言われている。同氏は01年のブッシュ政権の発足から05年6月まで国務省、財務省、CIAによる「北朝鮮犯罪対策班」を主導。

 同資料をもとに作成した報告書は、6者会談を進展させたい国務省内から公開にストップがかかった。同氏は05年7月に同省を離れたが、その際関連資料をネオコン勢力へ持ち込んだ。9.19共同声明を快く思わない強硬派が、朝鮮に圧力を加える格好の材料として利用した、という構図が浮かび上がる。

主張真っ向から対立

 金融制裁の解除をめぐる朝米間の対立は、6者会談の進展にも直結するなど、現在の朝鮮半島情勢の行方を左右する焦眉の問題だ。

 朝鮮側は金融制裁を、「米国の敵視政策の集中的表現」だとし、BDA口座の凍結解除を6者会談進展の前提条件として一貫して要求してきた。これに対して米国側は凍結措置を、朝鮮に対する制裁ではなく「金融システムを守るための国内法の発動」であり、「6者会談とは無関係」だと主張するなど、双方の認識は真っ向から対立している。

 制裁の解除は、単に凍結された資金を取り戻す問題ではなく、米国の敵視政策から関与政策への転換を測る尺度であると朝鮮は主張してきたが、米国はそれにいっさい応じようとしなかった。

 05年11月にニューヨークで朝米接触が行われた。外務省代弁人(12月2日)によると、朝鮮側は「問題解決のための会談ではなく、米国法に関する説明でもすると述べた」米国側の提案を拒否している。

 また偽造紙幣問題に詳しいドイツ・FAZ紙の記者も指摘しているように、現在にいたるまで米国側は朝鮮の「違法行為疑惑」を立証する具体的な証拠を何も提示していない。

 一方で朝鮮側は、紙幣偽造や資金洗浄などの不法行為を取り締まる法的、制度的装置が整備されていることを強調、国際的な反資金洗浄活動への積極的な参加の意志を明らかにした(外務省代弁人、06年2月9日)。さらに問題解決のために、米国が朝鮮の正常な国際金融活動への参加を後押しすべきだとも述べている(同、28日)。

 米国は「法執行に関する問題である金融制裁の解除に交渉では応じられない」と朝米直接協議を頑なに拒否する従来の立場から一転、朝鮮の核実験と米中間選挙後は、「米国は北朝鮮と交渉する用意がある」(ヒル国務次官補、06年12月)、「財務官僚らが当該口座を(合法、不法に)選別中」(米政府高官、ロイター1月16日)などと、態度を軟化させている。これは今までの公式的な主張とは異なるものだ。

 米政府内でも、法執行を強調する財務省と外交的側面を重視する国務省の間で意見の食い違いが見られる。(李相英記者)

朝鮮の公式見解(05年11月〜07年1月)

「『スーパー・ノート』 偽造ドル紙幣の秘密」 ドイツ・FAZ紙

[朝鮮新報 2007.2.2]