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西東京 朝・日ジョイントコンサート 観客400人、感動のステージに魅了

北京で雪解け 東京からも平和の春風を

 西東京の在日同胞女性たちで作る女声コーラスグループ「コール華」と電通三多摩合唱団などによる「アンニョンハシムニカ こんにちは―春を告げる! ジョイント・コンサート」が8日、東京都国分寺市のいづみホールで行われ、会場いっぱいに詰めかけた400人の観客を魅了した。

音楽で和解、平和を

圧巻だった観客も巻き込んだ全出演者による大合唱「アリラン」
日朝の平和を願う電通三多摩合唱団の力強い歌声

 コンサート会場には約1時間ほど前から20メートルほどの長蛇の列が続き、関心の高さをうかがわせた。

 このコンサートは昨年7月、東京都多摩教育センター大ホールで開かれた南の民衆歌手キム・ウォンジュンさんの公演を成功させようと取り組んだ中で出会った朝・日音楽関係者の一致した願いによって実現したもの。朝鮮のミサイル発射訓練直後の狂乱的なバッシングの中で行われた公演に友情出演した西東京第1中級部生徒たちと南の歌手との出会いは出演者、観客のすべてを感動の渦に巻き込み、平和と交流のための行動の大切さをアピールしたものだった。

 それから半年、在日同胞を取り巻く厳しい状況に変化はないが、「音楽の力によって、日朝間に吹く寒風を和解と友好の春風にしようとの思いにあふれたステージ」(原崇・電通三多摩合唱団団長)が花開いた。

涙と笑い、「圧巻」

立ち見も出た満員の観衆

 夕方7時に開演したコンサートは、「電通」の「ひとつの空の下で」の合唱で始まった。このうたは、長野県松代大本営跡を戦争の記憶として風化させまいとする運動の中で生まれたもので、その清澄な響きは、観客の胸を打った。次の曲「ふるさとの空」は、リストラ旋風や過酷な配置転換が強要される厳しい職場環境の下、遠くふるさとに家族を残し、都会の片隅で単身生活を余儀なくされた労働者の心情を歌ったもの。その叙情的な旋律に共感の拍手がわき起こった。

好評だった「ヘバラギ」の若々しい歌声

 続いて「コール華」12人による美しい歌声が会場いっぱいに響く。「半月」「先駆者」などの朝鮮の童謡や名曲が次々に披露されていく。40年の歴史を持つコーラスは60〜70代の女性たちによるもので、長い在日生活の中、人生そのものが、生きるための闘いだった。「民族教育の権利、祖国往来の権利、年金、公営住宅入居の権利…。そして、いまも祖国の統一めざして力強く歩を進める日々。そんな人生を歌に重ねて、感情を込めてステキに歌いたい」と本番直前に語っていたメンバーの権錦淑さんの思いは、観客たちの心に十分伝わったことだろう。

 この日のステージには、さまざまなサプライズも用意された。その一つが李龍秀・総連西東京本部委員長の独唱。

華やかな「チェンガンの舞」

 同胞たちの間では定評あるバスの歌声だが、この日ついに「コンサートデビュー」、満員の聴衆の喝采を受けた。また、主にクラッシック演奏を手がける「アンサンブルMOOI」が舞台で「冬のソナタ」のテーマ曲を演奏、ヴァイオリニスト・杉本伸陽さんが白いマフラーを巻いて現われると場内は笑いの渦。また、見事なアリランなどの演奏で水準の高い音楽ファンを喜ばせた。

 このほか、西東京の若いオモニたちのコーラスグループ「ヘバラギ」のはつらつとした歌声、西東京ヤンサンド重奏団の民族情緒たっぷりの朝鮮民謡の響き、西東京舞踊団のスピーディーな「チェンガンの舞」なども拍手喝采を浴びていた。

 フィナーレは、全出演者による「アチムイスル(朝露)」「あかとんぼ」「アリラン」の大合唱。ステージと観客が一体となった歌声は圧巻だった。

大成功の初の試み

「コール華」と「ヘバラギ」の女性コーラスと美しいサーモンピンクの衣装も好評を博した

 コンサート後、「電通」の指揮者・小林光さんは、「今日は北京でも6者会談が始まり、待ち望んだ春風が期待できそう。今日のステージは厳しい東アジア情勢や日朝関係に風穴を開け、東京から平和の声を発信させようとする最初の試みだったが、大成功だった。これを大きな契機にして、まず隣人同士が仲良くなれるよう日朝正常化に向けての草の根運動と世論を高めていきたい」と力強く語っていた。

 また、会場には「電通」のメンバーの一人、竹本郁代さんの夫と息子2人の姿もあった。都内の高校に通う康紘くん(17)は、舞台に大きな拍手を送りながら「母を心から誇りに思う。母は普段から、朝鮮半島と日本の歴史について話しながら、隣国を植民地にしてその責任を果たさないまま、在日朝鮮人に対して今も差別や嫌がらせを続ける日本のありようについて怒っている。今日の舞台のように、日朝が楽しく豊かなつきあいができるように僕達も力を尽くしたいと思う」と語った。(朴日粉記者)

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[朝鮮新報 2007.2.15]