第36回在日朝鮮学生美術東京展 多種多様な個性あふれる作品群 |
「友だち、家族、夢」 1万2000点を超える応募 第36回在日朝鮮学生美術東京展が9月5日から11日まで、さいたま市の埼玉会館・第3展示室で開かれた。東京展を皮切りに、今後日本各地で開催される同展には、各地朝鮮学校の幼稚園児や初級部、中級部、高級部の生徒たちから1万2000点を超える作品が寄せられた。そのうち優秀賞に初級部低学年195点、高学年202点、中級部134点が選ばれた。高級部部門では金賞22点、銀賞25点、銅賞14点、優秀賞9点が授与された。また東京朝鮮中高級学校(中、高)、東京朝鮮第4初中級学校(中)、千葉朝鮮初中級学校(中)、茨城朝鮮初中高級学校(中)、大阪朝鮮高級学校、神戸朝鮮高級学校、京都朝鮮中高級学校(中)が優秀部活賞に輝いた。(文=姜裕香記者、写真=盧琴順記者) 年齢に合ったテーマ、1000余点を展示
大きな竜や鳥、クジラなどの絵が入り口に張り出された東京展の会場には、各地の生徒たちが手がけた1000余点の絵画、工作、写真、映像アートなどが展示されていた。また会場内には、「祖国統一」「団結」「一つ」などと書かれた紙のレールが轢かれ、模型の統一列車が置かれていた。 作品はどれも、年齢にあったテーマと多種多様な材料と技法が施されていた。幼稚園、初、中級部の作品は、学校や友だち、家族、夢などを題材に生徒たちの素直な感性が伸びやかに表現されていた。高級部は、青年らしい気迫と豊かな感性にあふれ、自己を見つめ、社会、民族などについて考えた作品が多く見られた。
東京朝鮮中高級学校の卞勢奈さん(高2)は、応募したアクリル画「悩める自由」が銀賞に輝いた。「銀賞になったと聞いたときは、とても驚いた。目につく所に飾られているから少し恥ずかしさもあるけど、多くの人に見てもらいたい」と語った。そして他の生徒たちの作品を見て「自分には思いつかないようなものが多くて、すごく勉強になるし、ライバル心もわいてくる」と笑顔で話した。 東京朝鮮第6初級学校の成必麗教員は「生徒数が減っても応募作品が1万2000点以上にものぼったのは、美術教育が体系的に成長しているということを示している。とくに若い世代の教員たちは、新しい教材をどんどん生徒たちに与えている。生徒たちも、色や空間などを意識していろんな素材を使ってさまざまな表現をしているし、何を伝えたいのかが鮮明に伝わってくる」と評価した。 東京、平壌、ソウルをつなぐ
会場では同時に特別企画展示「東京、ピョンヤン、ソウルをつなぐ子供たちの出会い」が開かれていた。 平壌の綾羅小学校と長慶小学校の生徒たち、ソウルの「オリニオッケトンム」の子どもたちから送られてきたメッセージが、朝鮮半島の東海線と西海線を走る統一列車に乗せられ飾られていた。 メッセージの中には「一日も早く統一して、楽しい話をたくさんしよう」(リ・チョンジョン、長慶小学校4年)、「僕は君たちを見て、朝鮮の言葉と文字をもっと大切にしていかなければいけないと思った」(ユ・ジェヒョク、11歳・南)、「早く統一して朝鮮に住む子たちも一緒に集まってお互いの話ができればいいな」(キム・イェラン、12歳・南)などと書かれていた。また中央の壁には、東京中高学区の生徒ら一人ひとりの手形を切り抜いた色紙を用いて、朝鮮半島の地図や海、太陽などが形象されていた。
展覧会の知らせを見て会場に訪れた日本人男性(65)は、「一つ一つの作品を見るのが大変なほどのボリュームに驚いた」と言いながら、じっくりと展示品を見ていた。そして「今は情勢的に難しいが、市民による日朝交流を途絶えさせてはならない」と語った。 同展は、来年の2月まで各地で巡回展示される予定。(神戸展9月23〜29日、北海道展10月15〜21日、神奈川展11月22〜26日、京都展12月18〜23日、愛知展08年1月16〜20日、大阪展2月6〜10日)。 [朝鮮新報 2007.9.10] |