〈第5回全日本女子アマボクシング大会〉 大阪朝高・孫紗埜選手 演技競技・軽量級で金 |
大阪朝高OG・金聖姫選手 実戦競技で準優勝
第5回全日本女子アマチュアボクシング大会が2月24〜26日、東京都日野市にある日野自動車健保プラザで行われ、演技競技・軽量級に出場した大阪朝鮮高級学校ボクシング部の孫紗埜選手(2年)が金メダル、実戦競技のバンタム級に出場した同部OGの金聖姫選手(19、看護専門学校)が銀メダルを獲得した。一方、実践競技のライトフライ級に出場した金美稀選手(2年)は、初戦で敗れた。演技競技の金メダル獲得は2年連続3度目。「女子ボクシング部の伝統を作りたい」との女性選手たちの情熱が結果となって表れ始めている。 演技競技の軽量級には17人が出場した。大会史上、参加者が一番多く、ここで優勝することは至難の業だ。 昨年、大阪朝高は高梨香選手(2年)が軽量級で優勝した。同級生の快挙に孫紗埜選手も喜んだが、「自分もこの舞台に立ちたい」と強く思うようになった。 「梨香に負けたくない」。今大会、演技競技出場に向けて必死に努力して厳しい練習にもくらいついた。 大会本番。フットワーク、打撃、防御、体力、攻防と体力の5種目でレベルの高い演技を見せた。審判員らの目には高い基礎技術がしっかりと目に留まっていた。381点の高得点をたたき出しての優勝。2位とは4点差だった。 孫選手は、「自分が優勝したなんて実感がわかない」と驚きの表情を見せた。
試合を振り返り、「緊張したし不安も多かったけど、1位はやっぱりうれしい。がんばった甲斐があった」とほほ笑んだ。 一方、実戦競技のライトフライ級に出場した金美稀選手は、初の全日本大会にも関わらず、表情からは緊張したようすは見られなかった。「緊張はしてないけど、不安はあった」。 初、中級部は舞踊部に所属。人を殴ったことも殴られた経験もないが、両親の反対を押し切ってボクシング部に入ることも、実戦競技に出ることも自分の意思だった。 初の実戦試合。オモニの金泰枝さん(44)は、リングサイドで見ていられないといった表情だった。「自分の娘が殴られるよりも、殴ることの方が悲しい。でもここまで来たらやり遂げてほしいという気持ちはある」。 金美稀選手は序盤から京都の大学生選手を相手に果敢に攻め立てた。力を出し切り激しく真っ向から打ち合った。乱打戦。固さの見られた金選手は、1Rでダウン、3Rでダウンを2回奪われ試合がストップ、RSCで敗れた。 「攻められたら正面を向く癖があって、打ち合ってしまったのがダメだった。精神的に弱気になってしまった。悔しいけど悔いのない試合ができた」 「来年こそ金を」 同部OGの金聖姫選手は、昨年に続いての準優勝となった。大会へ向けて減量に励み、階級をバンタムに下げて試合に臨んだ。 初戦を3R・RSCで勝利。最終日の決勝戦では、箕輪綾子選手(神奈川・日本体育大学)と激しい打ち合いを展開した。 距離を置いて相手のリズムに合わせて打ち合おうとするが相手のパワーに徐々に押され始めた。1、2、3回でそれぞれダウンを奪われ、3R21秒で試合が終了。打撃により少しふくれ上がった顔が、壮絶な打ち合いを物語っていた。 金選手は「とにかく相手に合わせすぎた。自分の努力がまだまだ足りないことを実感した。今後、自分のスタイルを持てるようにしたいし、来年も出場してやるからには金メダルを獲りたい」と涙を浮かべた。 同部の梁学哲監督は、「演技競技での2年連続の金メダルは、朝鮮のボクシングの恩恵を受けている大阪朝高のボクシングがまちがっていないことの証明だ。実戦競技の2人もいつも以上にいい試合をした。今後も同大会で優秀な成績を収めていきたい」と語った。(c) (関連記事) 大阪朝高女子ボクシング部員から見えるもの 監督、父母、選手「結ばれた強い絆」 [朝鮮新報 2007.2.28] |