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〈第17回イギョラ杯〉 東京朝高サッカー部、飛躍誓う

強豪校監督ら 「大会参加はステータス」

 第17回2007国際親善ユースカップ「イギョラカップ」(主催=東京都サッカー協会、東京朝鮮中高級学校サッカー部OB会)が3月25日から28日までの4日間にかけて行われた。大会には、コンサドーレ札幌ユース、盛岡商業高等学校、錦湖高等学校(南朝鮮・光州広域市)、東京朝鮮中高級学校など16チームが参加(参加チームは別掲)。選手らは西が丘サッカー場、東京中高、朝大など都内6グラウンドで熱戦の汗を流した。

 大会は、参加チームを4組に分け予選リーグを行い、各組の順位別トーナメントという例年どおりの方式で行われた。

 大会では、流通経済大付属柏高、桐光学園高、盛岡商業高に予選リーグで3連勝(勝ち点9、得点6、失点0)、1位トーナメント準決勝で錦湖高を2−1、決勝では浦和東高を3−0で降したコンサドーレ札幌ユースが初優勝(初出場)した。

時代の産物

東京朝高は南の錦湖高に2−1で競り勝った(3月25日、予選リーグA組)

 「サッカーを通じて東アジアの親ぼくを深め、ユース世代選手の育成とユースサッカーの発展に寄与する」というのが大会の開催趣旨。大会は名の知れた強豪が春先に顔合わせする「ミニ高校選手権」の様相を呈する。東京に集結し、互いの技術を擦り合わせることで、新シーズンに向けたチーム作りの基礎となっている。同大会からは数十人の朝・日国家代表、Jリーガーらが輩出されている。

 大会に参加した日本学校の監督らは次のように語っていた。

 8、10、11、16回大会に出場し、今大会2位リーグで好成績をおさめた四日市中央工業高。樋口士郎監督(47)は、イギョラカップへの参加が「ステータス」であると話す。日朝の青年らがひとつのボールを追いかけ、やがて成長し、彼らが子どもを育てていく過程こそ、日朝両国において「間違った偏見」をなくす過程であると話していた。

 第85回全国高校サッカー選手権大会(06年度)で優勝した盛岡商業高は14、16回、今大会と3回目の出場。斉藤重信監督(59)は、「ずっと、いつか『イギョラ』に出られればという思いを抱いていた。参加するようになったきっかけは、ほかならぬ金益祚さん(東京朝高サッカー部OB会顧問、元同部監督)への打診。彼を知れば知るほどその人間性に魅かれた。ちなみに在日の蹴球団は私の憧れであった」。

 一方で忘れてはならないエピソードもある。

 いわゆる「拉致問題」以降、大会に殺到した日本のマスコミから、朝高生らの身を守った日本学校の監督、高体連関係者らの尽力だ。大会を継続し、朝・日のサッカー交流を底辺で支え続けた。

 「民族教育をアピールする場」でもある同大会は今後も、朝・日生徒らをつなぐ貴重な交流の場であり続けるだろう。

 東京朝高サッカー部OB会の金栄浩会長は、「サッカーを通して積み上げた真の友情こそが21世紀世代の東アジアの新たな架け橋になることを固く信じている」と大会パンフレットに綴っている。

「手ごたえ」が自信に

 東京朝高は今大会、予選リーグで錦湖高に2−1、四日市中央工業高に1−1(PK5−6)、アルビレックス新潟に1−2、3位リーグで桐光学園高に2−0、常葉学園橘高に1−4、東京ヴェルディに0−2という戦績であった。今大会で強豪と対等に競り合ったこと、「第3回愛知K・Jサッカーフェスタ」準優勝など「全国大会出場への準備、確かな手ごたえ」がチームの「自信」へとつながっている東京朝高。

 3月末に続いたふたつの大会は、「不足点を見つける好材料」であった。

 「同胞の期待に応えるのは義務」と同部の金鍾成監督は表情を引き締めていた。

 「今年こそ新高3が中心となり、OB、監督、コーチらへの感謝の気持ちを胸に、全国大会に出なければ」−白い歯を見せながらも、蒋基栄主将(新高3)の目はメラメラ燃えていた。

焼肉交流会

最終日に催された恒例の焼肉交流会

 全日程終了後、東京中高食堂前で東京朝高と錦湖高の選手らによる焼肉交流会(同OB会主催、東京朝高学父母が料理を準備)が催された。

 寄宿舎生活を送る錦湖高サッカー部は13、15回、今大会と3度目の来日。

 「スパイクのメーカーは南でなにが有名?」「授業、練習時間はどのぐらい?」「彼女はいる?」など、七輪を囲み談笑する姿は、「6.15共同宣言」がもたらした実りであろう。

 朝高選手と交流し日本の印象が変わったという錦湖高の孫世雄選手(高2)は、「あの安英学選手がここの学校出身? おまえもプロになって活躍しろよ」などと話していた。(李東浩記者)

 【大会結果】

 優勝 コンサドーレ札幌ユース、準優勝 浦和東高、3位 成立学園高、4位 錦湖高

 【参加チーム】

 コンサドーレ札幌ユース、盛岡商業高等学校、アルビレックス新潟ユース、湯本高等学校、浦和東高等学校、鹿島学園高等学校、流通経済大付属柏高等学校、韮崎高等学校、常葉学園橘高等学校、桐光学園高等学校、四日市中央工業高等学校、FC東京ユース、東京ヴェルディユース、成立学園高等学校、錦湖高等学校(南朝鮮)、東京朝鮮中高級学校

〈第14回 ピョンファ杯〉 今後も権威ある大会として

〈第3回愛知K・Jサッカーフェスタ〉 年々充実した大会に

[朝鮮新報 2007.4.4]