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在朝被爆者問題 実行されない日本の援護措置

平壌宣言後も空言繰り返す

 【平壌発=金志永記者】米国の原子爆弾投下と日本の敗戦から63年が過ぎようとしているが、在朝被爆者問題はいまだ解決されていない。現在、日本政府は在外被爆者に対して、国の差別をせず医療支援を行う措置を講じている。しかし、朝鮮政府と被害者たちについては、日本側からこの問題に関する通報や提案が一度もなかったことが確認された。日本は01年3月、在朝被爆者の実態を調査するため、政府調査団を派遣したが、朝・日平壌宣言が発表された02年以降、問題解決のためのいかなる行動もとっていない。

「国家差別なく支援」、朝鮮側には通報なし

在朝被爆者に対する日本政府の謝罪と補償の早期実現に向けて6月、訪朝した日本の支援団体

 00年3月、朝鮮被爆者協会関係者が日本を訪問した。

 当時の小渕恵三首相をはじめ政府関係者は、在朝被爆者問題を速やかに解決すべきだと認めた。その翌年には厚生労働省、外務省関係者で構成された調査団が訪朝した。

 しかし、具体的な援護措置は講じられなかった。日本政府の対応は、関係者が出てきて、在朝被爆者問題解決に向けて措置を講じるとの発言をしたのみで、実際の行動はなかった。結果的に空言を繰り返すことで世論をミスリードし、問題責任をうやむやにした。

 04年7月、当時の坂口力厚生労働大臣は在外被爆者に対する医療支援問題と関連して、国家に関係なく施行すると述べた。また今年6月には、舛添要一厚生労働大臣が在朝被爆者に対する日本政府の措置がまったく講じられていないことを認め、速やかに解決すべきだと発言した。

 これに対して朝鮮被爆者協会の桂成勲書記長は「発言を行動に移すべき」だとしながら、高齢となり健康状態が悪化している在朝被爆者に対する援護措置は、これ以上先送りすることのできない問題だと主張している。

 桂書記長は、政府関係者の発言に惑わされて在朝被爆者に対する援護措置が講じられていない原因に対する誤った認識があると憂慮を示した。被爆者らが「被爆者健康手帳」取得のために日本を訪問するのが難しいという諸事情は「問題の本質ではない」との指摘だ。

朝鮮被爆者協会の桂成勲書記長

 桂書記長によると、日本の政府関係者は「前向きな発言」をしたが、その後、問題解決に向けて朝鮮外務省や朝鮮被爆者協会に連絡をしてきたことはない。

 日本側は「被爆者健康手帳」の発給には国家の差別をしないとしているが、在朝被爆者の「手帳」取得方法に関する何らの提示もない。桂書記長は、「最初から日本政府には在朝被爆者を援護する意思がない」と話す。

 日本の「被爆者援護法」は「被爆者健康手帳」発給に基づいた健康管理手当および医療支援金の支給を定めている。在朝被爆者と協会関係者はこのような法は、被害者たちの要求を実現させる基準になりえないと話す。国交のない朝・日関係は他国との関係とは異なる特殊な関係にあり、したがって日本政府が在外被害者に実施している援護措置をそのまま適用する方法では根本的な問題解決を期待することはできないということだ。

 朝鮮は日本軍による不法な朝鮮占領と軍事的統治がもたらした在朝被爆者問題を、日本の過去清算と直結する問題として受け止めている。そして国家の謝罪と死者を含む全ての被害者たちに対する物的補償を要求している。これらの措置は現行の「被爆者援護法」の範ちゅうを超えるものだ。

 朝鮮は、朝・日国交正常化を通じて日本側が在朝被爆者問題の根本的な解決を果たすべきだという立場だ。平壌宣言は過去清算に基づいた朝・日国交正常化を確認した文書だ。日本が宣言の精神を尊重するなら、在朝被爆者問題解決のための措置をただちに講じるべきだ。

 在朝被爆者と協会関係者は、「国交正常化前でも日本が朝鮮国内での被害者調査のために必要な資料や文書を全面公開し、生存者に対する医療支援措置を至急講じること」(桂書記長)を求めている。

被害者が求める根本的解決 「過去清算と直結する問題」

[朝鮮新報 2008.8.8]