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朝鮮メディア、連日の李明博政権非難 米・日訪問に焦点

「対米従属」 「反北対決」

 朝鮮のメディアが南朝鮮の李明博政権に対する非難のトーンを強めている。新聞、テレビ、ラジオなどの各メディアが問題視しているのは、米国をはじめとする外部勢力に追従する李政権の姿だ。非難キャンペーンは、李明博大統領の米・日訪問(4月14〜21日)に焦点を合わせている。

「屈辱的な売国行脚」

3日、ソウル市内で行われた米国産牛肉の輸入再開に反対する市民集会 [写真=統一ニュース]

 労働新聞2日付は同紙時事論評員の文を掲載、李大統領の訪米・訪日外交について、「(彼の)反民族的で反統一的な正体を満天下にさらした反北対決行脚として最も恥ずべき記録を残した」と酷評した。

 論評は今回の米・日歴訪を「対米従属」「反北対決」という2つの側面から非難した。

 訪米期間中(14〜19日)、李大統領は米国側と「21世紀戦略的同盟関係」を構築することで合意した。これは、「21世紀の新たな安保への挑戦や内外情勢変化に効果的に対応するため」、米国と南朝鮮との関係を軍事、経済などさまざまな分野において拡大するというもの。在韓米軍の追加削減計画の白紙化が決まり、FTA早期批准、大量破壊兵器拡散防止、対テロ、人権などで協力していくことでも一致した。

 また、自身の対北政策である「非核・開放・3000」構想(北側が核を放棄し開放に向かえば1人当たりの所得3000ドルを達成できるよう支援していくというもの)に対しての支持を求めた。

 「非核・開放・3000」に関して、北側はすでに労働新聞4月1日付などを通じて、「北の『完全核放棄』と『開放』を北南関係の前提条件として打ち出した荒唐無稽でせん越な戯言」と厳しく批判している。

 労働新聞2日付論評は、李大統領が米国に対して「非核・開放・3000」への支持を求めたことについて「許しがたい挑発」だと批判。民族の尊厳と利益を外部勢力に売り渡し、対決と戦争を追求し、北南関係を破局に追い込む反民族的発想だと指摘した。

 さらに、李大統領が米・日歴訪で強調した米・韓・日3国の連携に対し「政治的、軍事的に米国従属を強めた」と指摘した。

 人権問題の提起に関しても、「北側の権威をおとしめ、北南関係を対決に導こうという故意の挑発」だとした。

 一方、「新協力時代」と「未来志向」を強調した訪日(20〜21日)に関しては、「歴史問題で免罪符を与え、親日逆賊行為を働いた」との見方を示した。

 論評は今回決まった米国産牛肉の輸入再開についても言及し、「南朝鮮の人びとの利益を外部勢力に売り渡す売国的、亡国的行脚」だったと非難した。

 上記のような分析を基に、論評は訪米、訪日の結果が「南朝鮮と北南関係にせまる受難と破局を予告している」と述べ、「北南関係の行き詰まりは核問題の解決にも地域の平和と安定にも決して役立つものではなく、李大統領が重視する経済再生にも同じことがいえる」と主張した。

 また朝鮮メディアは北南関係と関連して、李明博大統領が訪米中に発表した南北連絡事務所の相互設置提案を全面否定する論調を展開している。連絡事務所の設置提案は米紙ワシントン・ポストとの会見(17日)で明らかにしたもので、南側は「行き詰まった南北関係の突破口として高位級の常設対話機構の設置を目的としたもの」だと説明している。

 労働新聞2日付論評は同提案について、「北南関係を悪化させた責任から逃れ、対話に関心があるかのように見せる芝居」と一蹴した。

 また、同紙4月26日付論評も同提案を「反統一骨董品」と酷評し、連絡事務所の設置は「真新しい提案ではなく、南の歴代政権が北南関係を国家間の関係として規定し分断を永久化するために持ち出したが、内外から強い糾弾を受けた提案」だと指摘した。同論評は李政権が連絡事務所の設置を提案してきた理由について、「(李大統領の)不安感と焦燥感の表れ」だとし、内外の批判に直面している「保守執権勢力による窮余の策」だと分析した。

宣言の履行迫る

 労働新聞以外にも、民主朝鮮をはじめ各紙が同様の内容で連日、李政権批判を大々的に展開している。

 今回の米・日歴訪に対する非難に先立って、労働新聞は4月22日付から、「『実用政府』の犯罪的正体」と題する連載を始めている。

 連載は李政権の北南関係、対米関係、核問題や経済などの内政諸問題に対する政策を分析、評価する内容。李大統領の親米、反北対決的な姿勢の実例を挙げ、李大統領が「同族である北側との関係よりも米国との関係優先を叫ぶのは驚くべきことではない」と一様に指摘している。

 北南関係に対する北側の立場は終始一貫している。李政権は6.15共同宣言と10.4宣言の履行意志を明らかにし、外部勢力との共助よりも同族関係である北南関係を重視すべきだというものだ。

 労働新聞14日付の論評は、韓米関係優先論や実用主義、「非核・開放・3000」構想は「北南対決と北侵戦争の論理であり、毛頭受け入れることはできない」と主張、「わが民族同士」の理念に基づく6.15共同宣言と10.4宣言にそむく論理は、いかなるものも北南関係の基礎となることはできないと強調した。同論評は北南の両首脳が署名した宣言を否定し「わが民族同士」の理念を尊重しない側とは「絶対に親交せず、いかなる取引にも応じない」との立場を明確にしている。

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[朝鮮新報 2008.5.9]