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統一文学創刊 北、南、海外の作品掲載

7千万が共に読む文学誌

 【平壌発=金志永、鄭尚丘記者】6.15民族文学人協会の機関誌「統一文学」(統一文学出版社)が創刊された。雑誌には、「雨風に落ちるような事があろうとも春を真っ先に知らせるのが本物の花だ」という北、南、海外作家たちの良心と統一への熱意が込められている。「統一文学」の対象読者は7千万同胞だ。

「誌面で会おう」

「統一文学」の創刊号

 「統一文学」の前身は1989年6月に北側で創刊された「統一文学」だ。

 「統一」という言葉が冠された文学誌の誕生経緯について6.15民族文学人北側協会のチャン・ヘミョン副会長(50、朝鮮作家同盟中央委員会副委員長)は、「分断の痛みと統一を目指す北と南の文学者らの熱い思いが込められている」と指摘する。

 89年3月4日、南朝鮮の民族文学作家会議は北、南、海外同胞作家会議の開催に向けた予備接触を行おうとの公開書簡を発表した。北側の朝鮮作家同盟中央委員会は16日、この提案を支持する公開書簡を送り27日午前10時に板門店で予備接触が行われることになった。

 「北南作家たちの出会いは、民族文学の統一的発展と国の平和統一の実現において画期的な転換の契機」(朝鮮作家同盟中央委員会が送った公開書簡)となるはずだったが、南朝鮮当局は南側代表の板門店への出入りを遮断した。

 「時代の先覚者」たちは地上で会えないのなら誌面で会おうという熱意を抱き、雑誌「統一文学」を世に出すことを決意した。北南接触が遮断されたため、北側の文学者らは「単独」で北、南、海外の文学者らの作品を掲載した雑誌「統一文学」を創刊した。この雑誌は国全体が経済的試練を経験した90年代後半の「苦難の行軍」の際にも途切れることなく3カ月に一度、75号まで発行された。

 「統一文学」に対する北側の関心は高かった。とくに統一をテーマに作品を書いた南の作家を読者は今も忘れていない、と北側の文学者らは話す。

質的な変化

 統一を志向する民族作家たちの活動に、2000年の北南首脳対面と6.15共同宣言発表後、質的な変化がもたらされた。05年、平壌で6.15共同宣言実践のための民族作家大会が開催された。その翌年の10月には金剛山で北、南、海外の作家たちをひとつに結びつける6.15民族文学人協会が結成され、「統一文学」を協会の共同機関誌としてさらに発展させていくことが決まった。文学者らの新たな活躍の舞台がつくられた。

 昨年10月、北南首脳会談が行われたことで創刊に向けた活動はさらに活発になった。

 行事や「運動」を行うことはできても「同じ資格で本を作ることはできない」という声もなくはなかったという。しかし共同編集委員会では「最大の民主主義」「最大の公正性」を堅持し、編集と発刊作業に取り掛かった。

 昨年の11月初旬に開城で合意がなされ、編集と印刷を北側が担当することや、発行日時などが決まった。

 この計画にしたがって新たに誕生した「統一文学」は年2回発行の文学雑誌として今年の2月5日に5000部の印刷を終えた。11日には中国・瀋陽で分断史上初となる雑誌の創刊記念行事を行った。

 同誌の普及はもともと2月中旬か末に予定され、2000部が開城経由で南側に搬入されるはずだったが、南当局の不許可措置によって実現していない。

「廃刊するその日まで」

 創刊号を準備する過程についてチョン・ソンナム北側編集部長(41)は、「統一への熱望から多数の作品が送られてきた」と話す。

 老作家から小学生まで北側全域から作品が送られてきたという。全作品を掲載することはできないので創刊号には「わが民族同士」の精神や各地の生活が反映された小説9編(北南各4編、海外1編)、詩18編(北南各8編、海外2編)、エッセイ4編(北南各2編)、評論2編(北南各1編)が収録された。

 チャン・ギソン、ピョン・チャンリュル、チェ・リョン、リ・ピョン、趙基天、呉映在(以上北側)、李清俊、殷熙耕、パン・ヒョンソク、キム・ソリョン、高銀、李根培(以上南側)のような文学者らの作品にまじって、在日同胞の中からは朴鍾相氏の「鴛鴦有情」が載った。

 創刊号の発行部数が5000部と少々さびしい感じもあるが、チャン副会長は「国が分断されていなければこの世にあってはならない本」だと強調する。

 「人々のニーズによって季刊誌になったり、部数も変わる。今後7000万部を印刷することもあるかもしれない。北南両首脳によってもたらされた6.15共同宣言と10・4宣言の里程標に従い、廃刊するその日まで、発行していくつもりだ。ともあれ夢は多い」

 チョン北側編集部長は今後「統一文学」を民族を代表する雑誌に育てていくという。「海外で民族教育を受けた朝鮮大学校卒業生たちの作品など、時代の発展に合わせて多種多様な作品を誌面に載せるようになるだろう」と展望を述べた。

「統一文学」搬入不許可 「10.4宣言の否定」

[朝鮮新報 2008.3.14]