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〈第11回平壌国際映画祭〉 独自の選定基準明確に、海外の受賞作 多数出品

人間問題扱った作品に注目

 【平壌発=李相英記者】第11回平壌国際映画祭が9月17〜26日、開催された。出品作の評価など今映画祭を振り返ってみた。

好評だった特別上映

祭典閉幕式の様子(9月26日)

 映画祭組織委員会によると、今祭典には700編を超える作品の出品申請があった。組織委員会に設けられた選定委員会が、祭典の理念に則して最終的に110編を選んだ。そのうち29編(長編16編、短編・ドキュメンタリー13編)がコンペティション部門に参加した。

 祭典審査委員のリ・ヤンイル平壌演劇映画大学副学長は「『自主、平和、親善』の理念のもと、人間問題をテーマに扱った作品の出品がほとんどを占めているのが平壌映画祭の特徴」だと指摘する。

 事実、審査員らは自主、反戦平和、家庭の幸福、女性の権利擁護など、現代社会で提起されている幅広い問題を扱った作品が多く出品されたことを評価していたという。

 今祭典の特徴のひとつとして挙げられるのが特別上映作品だ。さまざまな国際映画祭の受賞作や各国で人気を集めた作品を主に選んだ。

 今年6月の第11回上海国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した「MUKHA(ムハ)」(08年)、2006年アカデミー賞受賞作「貨幣偽造者」(06年、独・墺合作、原題=「Die Falscher」、日本公開時「ヒトラーの贋札」)、「エリザベス一世」(07年、英、原題=「Elizabeth:The Golden Age」)など7編の作品が上映された。

 コンペティション部門には思想性、芸術性の高い作品が多かった。

 とくに最優秀賞を受賞した中国映画「集結號」(英語名「Assembly」)は、大きな反響を呼んだ。作品は中国共産党と国民党の間でし烈な内戦が繰り広げられていた1948年、中国人民解放軍兵士たちの戦場での友情を描いた。作品の表現法が、中国映画の発展像を示す実例として評価された。

 また、教育、家庭、高齢化問題など、人間の生に関連する問題を扱った作品も関心を集めた。イラン映画「主線」(英語名「Mainline」)、インド映画「空の家」(英語名「A Home in the Sky」)、スイス映画「ヴィートス少年」(06年、原題=「Vitus」、日本公開時「僕のピアノコンチェルト」)、チェコ・英合作映画「空き瓶」(07年、英語名「Empties」)などがその代表作だ。

 これらの作品の共通点は、ストーリー展開が個人や家庭の次元で終わるのではなく、そのテーマと思想を社会的な次元に昇華させている点だ。

欧州作品が増加

平壌芸術映画撮影所を見学する祭典参加者たち

 今祭典に出品された作品数は、前回の70余編をはるかに上回る110編だった。とくに英国、フランス、ドイツからは計50編の作品が出品され23編が上映された。リ副学長は、欧州各国の出品数増加は当然の流れだと強調する。

 元来、同祭典の正式名称は「非同盟および発展途上国の平壌映画祭典」だ。祭典が始まった80年代、これらの国々の映画界の発展を図ることが主な目的のひとつだった。以後、祭典の規模が拡大し、欧州先進国からも出品数が増加、第10回からは現在の名称に改称された。当初に掲げた理念に合致する作品を積極的に受け入れ、名実ともに「国際的祭典」にしようとの意図からだった。

 祭典関係者は、英国、フランスなど映画産業が発展し投資規模も大きな欧州の国々から作品が多く出品されることは、同祭典の発展を促すうえでいい傾向だと指摘する。

 特別上映作品の「貨幣偽造者」「エリザベス1世」のほかにも、今年の第80回アカデミー賞にノミネートされた英仏合作映画「しょく罪」(原題=「Atonement」、日本公開時「つぐない」)などが朝鮮の映画関係者の注目を集めた。

 一方、今祭典期間、朝鮮の長編芸術映画「あの空の凧」(08年)が特別上映された。また、短編・ドキュメンタリー部門で児童映画「ウグイスの歌」が構成賞を受賞した。

 外国の映画関係者らは、朝鮮の過去の名作を評価するとともに、次回祭典に多くの新作が出品されることを期待していた。

〈第11回平壌国際映画祭〉 各国映画人の反響

〈第11回平壌国際映画祭〉 「ナチス告発」作品、連続上映

[朝鮮新報 2008.10.1]