top_rogo.gif (16396 bytes)

名古屋で2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」全国集会

「歴史と人権、分離できない」

 2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」全国集会(主催=同実行委、東海地域実行委)が8月29日、名進研ホール(名古屋市西区)で開催された。集会には日本各地の朝鮮人強制連行真相調査団関係者、市民団体代表、賛同者など約200人が参加した。昨年の「在日朝鮮人歴史・人権奨励賞」を受賞した、「日朝友好九州学生の会」(特別賞)、留学同兵庫本部「強制連行真相究明サークル」(優秀賞)をはじめとする、若い世代の参加者も多かった。30日には名古屋市東山霊安殿、岐阜県久々利地下壕でフィールドワークが行われた。

全国各地から約200人が参加した

 集会は、オープニングセレモニーの寸劇「テマンハルモニとマダンのハルモニ」の上演で幕を上げた。

 続いて、平岡ダム(長野県)に連行され、1945年8月15日まで強制労働を強いられた故金一洙氏の実子で、国と建設会社による文書での謝罪と父親の尊厳回復を求め、人権救済の申し立てを行った金甲治氏が証言した。

 金甲治氏は、父親をはじめとする同胞たちは、解放の日まで暴行やシェパードを使った監視の中でダム建設を強制されたことや、その過程で多くの同胞が命を失ったことについて言及し、無念でしかたがないと遺族の心情を語った。そして、生前の父親の話からあらためて自身のルーツを思い知ることができたと述べながら、後世に正確な歴史を伝えていくことが重要だと強調した。

 東海実行委・安川寿之輔代表が開会宣言をし、朝鮮人強制連行真相調査団・寺尾光身共同代表が主催者を代表しあいさつした。

 来ひんのあいさつをした調査団朝鮮人側中央本部・高徳羽代表(総連中央副議長)は、根本的な視点から在日朝鮮人問題の起源を捉えなくてならないと指摘し、歴史の中で現在を認識することの重要性について語った。

 集会では、「強制連行とは―新たな視点で提案する」と題したシンポジウムが行われた。

シンポジウムでは、在日朝鮮人の歴史と人権が分離できないことが確認された

 床井茂弁護士、東京造形大・前田朗教授、愛知県朝鮮人強制連行真相調査団・金順愛事務局長がパネラーを務めた。

 床井茂弁護士は、法的な視点から「強制」には肉体的・精神的強制が含まれることを強調し、1920年代から甘言を用いて強制連行が行われてきたと指摘したうえで、「忘却」「わい曲」を正し、真相を明かすことが反戦平和、友好親善の礎だと述べた。

 前田朗教授は、「慰安婦」強制連行は誘拐であると大審院(当時、現在の最高裁に相当)の判例を用いて解説した。また、日本における議論や国際社会における議論から強制連行問題の論点を整理し、国際法、国内法の両方から国家責任は追及されるべきだと指摘した。

 金順愛事務局長は、中島飛行機半田製作所の被連行者の年金と課題に関する調査報告を行った。「被保険者名簿」から同製作所には1235人の朝鮮人強制連行者がいたと推定される。金順愛事務局長は調査の中で、朝鮮半島北部からの連行を確認、朝鮮での被害者調査の経緯について触れ、「本人申請」ではなく被害者本人と遺族への「お知らせ」「脱退手当金支給」の実現、年金の「本人申請」「遺族申請」の試みなどをすべきだと発言した。

 続いて各地の活動が紹介され、朝鮮人強制連行真相調査団・原田章弘共同代表が集会のまとめを行った。

 最後に、集会アピールが採択された。

 アピールは、朝鮮人強制連行の歴史的事実を法的な視点から討議した結果、@「強制」には、いい仕事があるとして騙して連れていった「精神的強制」が含まれる、A朝鮮人強制連行は朝鮮本土から海外への連行のみならず、日本国内から海外と日本国内の作業所への連行が含まれる、B日本は未だ世界で唯一、朝鮮に対し加害国の責任を果たしていないことが確認されたとし、日本政府が加害の歴史を教訓とし、平和と友好のためには、日朝関係を改善させることが不可欠であり、そのためには「制裁」措置を即時撤回することが求められていると指摘した。そして、在日朝鮮人の歴史と人権は分離できず、運動を推し進めていくことが宣言された。

 真相調査団の・洪祥進朝鮮人側事務局長は、「活動報告にもあったように若い世代の台頭が目覚しく、3年目を迎えた『在日朝鮮人歴史・人権週間』の活動の広がりが確認できる。今後は在日朝鮮人の法的地位について根本的に再整理することが必要だ」と指摘した。(鄭尚丘記者)

名古屋市東山霊安殿、岐阜県久々利地下壕でフィールドワーク

[朝鮮新報 2009.9.14]