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韓統連 自由往来権の剥奪を非難 都内で記者会見

在日同胞社会脅かす公安政治

 在日韓国民主統一連合(韓統連)が9日、東京都内の事務所で記者会見を開き、南当局が最近、同団体の幹部、会員らに対する旅券発給を拒否し、南朝鮮への自由往来の権利を奪おうとしていることを明らかにした。

 朴南仁組織局長は、李明博政権が昨年後半期から大々的に行っている統一運動団体に対する弾圧騷動と軌を同じくして韓統連に対する弾圧が強化されていると指摘しながら、自由往来権の剥奪は重大な人権問題であると非難した。

 一方、韓統連東京本部常任委員の金梨恵さんは、領事館から韓統連からの脱退を旅券発給の条件として提示されたことを明らかにした。

李明博政権 韓統連関係者の自由往来権剥奪 「民主主義の後退を憂慮」

 過去の軍事独裁政権時代を彷彿とさせる李明博政権の公安政治が在日同胞社会にまで及んでいる。在日韓国民主統一連合(韓統連)が9日、東京都内の事務所で記者会見を開いて明らかにしたところによると、李明博政権は、南朝鮮社会の民主化と祖国統一の実現を目的とする同団体の幹部、会員らに対する旅券発給を拒否、南朝鮮への自由往来の権利を奪おうとしている。会見で発言した朴南仁 組織局長は、これは南朝鮮で民主主義が後退している証だと指摘した。

自由往来権の剥奪

9日、東京都内の事務所で行われた韓統連の記者会見(左から黄英治宣伝局長、金梨恵東京本部常任委員、宋世一副議長、朴南仁組織局長)

 韓統連は、南朝鮮の独裁政権に反対して民主化と統一を実現するため、民団の良心的な人士を中心に1973年に結成された「韓国民主回復統一促進国民会議」(韓民統)を前身とする。89年に組織改編され現在に至っている。

 韓統連は最高顧問が合法的な統一運動連帯機構である6.15共同宣言実践民族共同委員会の海外側委員会共同委員長として活動するなど、6.15共同宣言発表以後とくに全民族的祖国統一運動に貢献する事業を展開してきた。

 南朝鮮現政権は、このような団体の幹部、会員という理由だけで旅券の発給を拒否し、弾圧を加えている。

 記者会見で宋世一副議長は、南朝鮮へ自由往来できないのは重大な人権問題であるばかりでなく、南朝鮮の民主化、祖国統一とも関わる問題だと指摘。軍事独裁時代に時計の針を戻そうとする李明博政権に憂慮を示した。

 韓統連は過去の軍事独裁時代に「反国家団体」「利敵団体」というレッテルを張られ、南へ出入りできなかった。6.15統一時代に入りようやく韓統連幹部、会員らは海外民主人士と認定されるようになり往来の自由が保障された。2003年に初めて訪問団が南朝鮮を訪問し、以降も訪問を続けていた。韓統連側はこれを、「盧武鉉前政権が韓統連の長年にわたる民主と統一のための活動を正しく評価して取った実質的な名誉回復措置」(記者会見報道資料)と受けとめている。

 ところが南の政権が交代してから状況は一変した。李政権発足から数カ月間は何らの問題なしに南朝鮮を往来したが、昨年の後半期から当局が大々的に行っている南北共同宣言実践連帯、汎民連南側本部など統一運動団体に対する弾圧騷動と軌を同じくして、韓統連に対する弾圧も表面化し始めた。

 今年4月、孫享根議長など韓民統幹部がメンバーを引率して南を訪れた際、国家情報院の要員が議長などに対して、押収捜索令状を提示しながら捜査を行い、国家情報院への出頭を要求したという。これにより、出国を余儀なくされた。さらに、韓統連からの脱退を旅券発給の条件に提示されるなど、会員が圧力を受ける事態が最近相次いでいる(別途記事参照)。

 宋世一副議長は、「自由往来の権利獲得運動も本国の民主化につながる。南当局が旅券を発給するなら歓迎するが、そうしない場合は対応措置を取っていく」と述べた。その具体的な対応措置として、対策委員会を立ち上げてその不当性を広範に知らせること、各人権団体に働きかけ、訴訟も念頭に置いていることを明らかにした。

総連役職持つ同胞にも

 李政権は「韓国」籍を取得した、総連の役職を持つ在日同胞に対しても不当な圧力を加えている。

 本紙が報じたように、去年10月、南当局は民団中央に対して、各地方本部と中央傘下団体に「業務連絡」という指示を下逹させて「国籍変更した総連活動者」調査を急ぐよう督促した。その指示の内容とは、「韓国」籍に変更したにもかかわらず総連で活動している者がいるので「総連の傘下団体および関係機関までを含めて役職を持っている者」と「総連に財政支援をしている者」を徹底的に調査して報告しろというものだ。

 また指示文には、「調査結果をもとに対処案を検討すると同時に、在日公館と本国関係当局に報告して適切な措置を取るように要請する予定」とまで明らかにされている。

 すなわち、個人の便宜上の理由でやむをえず「韓国」籍を取得した一部の同胞らを罪人扱いしながら、彼らを総連の愛族愛国運動から切り離そうと脅迫しているのである。

 総連はこれを、堪えがたい人権侵害として、同胞らを恐怖へと追いこみ対決と分裂を助長する行為として反対し、国家情報院が行っているこのような行為を即中止するよう繰り返し求めた。

 このような行為が暴露され、批判の声があがっているにもかかわらず、これを止めるどころか、最近は国家情報院が直接乗り出して、一部の同胞を呼びつけ強い圧力を加えているという。

 このように南朝鮮当局の反民族的、反統一的策動は、総連、韓統連を問わず祖国統一を願い、統一のために活動するすべての在日同胞らに向けられている。(姜イルク記者)

被害者が明かす弾圧の事例 脱退を旅券発給の条件に

[朝鮮新報 2009.6.12]