在日−在米 同胞青年交流記
違い消した「一体の実感」
地域の枠越え輝き放つ――民族統一の希望、ビジョン
チャンゴやケンガリを叩き
民族共通の感性を確認
朝青と留学同の代表、青年商工人ら19人からなる在日朝鮮青年学生代表団(団長=高徳羽朝青中央委員長)が、8月30日から9月8日にかけて米国を訪問した。コリアン移民団体の一つ、在米同胞全国連合会の招請に応えたもので、在住地域の枠を超えた若い世代の交流を通し、新時代の汎民族ネットワーク構築につなげて行くことがねらい。一行はロサンゼルス、ワシントンDC近郊、ニューヨークの同胞青年グループと交流、「民族」に寄せる思いを語り合った。
(関連記事=多世代混在へ――米国のコリアン) 場を共にしていたのは、南カリフォルニア民主青年学生会(民青)のメンバーら十数人。先立つ2日間に深更まで語り合い、互いに知りあってはいたが、日帝の植民地支配に起因する在日同胞社会の形成、数百の活動拠点と専従活動家、大学まである民族教育など、在日青年運動のアウトラインを伝えるほどに、互いの「違い」が際立っていた。 しかし、「普段、何に悩み、どんな努力で乗り越えているかを聞き、外国で民族性を守って生きることの共通性を感じた」(イラストレーターのムン・ドンホさん)。 在米青年らによる民族性継承の運動は、規模的には細々としたものだ。民青をはじめ、代表団が交流したウリ文化を広める会(ヴァージニア)、ボルティモア・プンムル会、ノドゥットル(=踏み石、ニューヨーク)はいずれも、10〜20人前後の地域組織だ。 活動の方向性は、団体ごとにやや比重は異なるものの、民族文化の継承や人権問題への取り組みを通して民族的アイデンティティを保ち、祖国統一の早期実現を希求する、という点で一致する。その姿勢には、真しで熱いものがある。 文化・人権・統一など間口の広いテーマを持ち、取り組みも熱心なのに、地域ごとの取り組みに留まっているのは何故か。 ロスで、民族性をテーマにした雑誌の発行に携わるキム・ジョンヨルさんは、「コリアタウンなどを見ると在米同胞は民族色が濃いようだが、内面では『米国人らしさ』を求める傾向が強い」と話す。移民だから、とも思えるが、問題なのは「既成のステータスへの強い憧れが自分のルーツや文化の軽視につながりがちで、それが白人へのコンプレックスを生んでしまうこと」だと言う。 ある青年は、同胞の集会で統一問題に関するレポートを発表した際、「北式の単語を使った」といってヤリ玉に挙げられたそうだ。一世が多い分、南の反共教育の影響が根深いらしい。 民族や統一を説くにも、一筋縄では行かない状況なのだ。 また、本意であれ不本意であれ、「北か南か」「自主か同化か」と何かにつけ「色分け」にさらされた在日同胞の歴史が、在米同胞社会にはまだない。活動の間口を広くとった分、在米青年らは混在する個々の意見とひたすら向き合わねばならず、運動にうねりを起こすのは容易でないようだ。 「民族性の『価値』をどう説くか」 在日と在米の青年運動の共通点は、この課題を背負っていることにある。運動の長い経験を有する在日も、一世が主流で祖国を肌で知る在米も、答えをはっきりとは見出せていない。 ただ今回、異なる背景を持つ者どうしで交流する中で、ヒントは見えてきたようだ。 車座になり、深夜まで続いた語らい 代表団のひとり、朝青大阪府本部の崔権三委員長はこう語る。 「交流した在米青年たちの統一への思いは本物だった。幼くして渡米した彼らがどうやってそういう思いを持つに至ったかは分からないが、どこで暮らしていようと、朝鮮民族にとって、祖国統一は輝きをもって映るのだと実感した」 またヴァージニアのある青年は、「民族性の大切さを説くうえで、それを守れば何を得られるかというビジョンを示す必要があると思っていた。在日の仲間と一体感を持って交わりながら、こういうものを示せればいいのかもしれない、と思った」と話す。 祖国を統一し、皆が1つになるのは朝鮮民族の悲願だ。その実感を知る人は少ないが、確実に機会は増えている。視野を広げ、少し足を伸ばして、統一民族の将来を思い描く材料を、集める時が来たようだ。 |