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喫煙者のIQ低下/国立長寿医研の調査
愛知県大府市の国立長寿医療研究センター疫学研究部の中高年を対象にした調査によると、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて頭の働きが知能指数(IQ)で5ポイント落ちていることが2月25日、明らかになった。
またたばこをやめることで頭の働きが元に戻る可能性が高いことも確認された。
たばこと知能との大規模な調査は世界でもあまり例がないという。
調査は97〜99年にかけて愛知県内に住む40〜79歳の1824人(男901人、女923人)に対して、面接形式の「ウェクスラー知能診断検査」で喫煙とIQとの関係について調べた。
その結果、中高年男性のIQの平均値は、現在吸っている人(349人)が102.5、以前から吸わない人(190人)が106.8、やめた人(362人)が107.9だった。
禁煙者のIQが低くなったことについて疫学研究部の下方浩史部長は次のように語る。
「喫煙による酸欠などにより、脳に一過性の障害が起きている可能性が高い。しかしたばこをやめれば働きも元に戻ってるようだ。たばこのニコチンは一時的な覚醒効果はあるが長続きせず、結局は脳の働きは落ちている。長期的にみると喫煙は動脈硬化を促進させ、脳に永続的な影響を与える」
日本の肥満2300万人
日本人の肥満は男性が1300万人、女性が1000万人で計2300万人に達し、人口の2割強を占めていることが、2月25日に厚生省が発表した「1998年国民栄養調査」で分かった。
約20年前の79年に比べて男性はすべての年代で肥満者の割合が増加、15歳から30代の女性は逆に「やせ」とされる人が大きく増えた。
運動不足や食生活の偏りによる肥満、過度のダイエットへの対策が急務となっているといえる。
調査は98年11月に約1万5000人を対象に実施、身体状況や栄養摂取状況などを調べた。日本肥満学会が作成した肥満を判定する指標(BMI、体重・キログラムを身長・メートルの2乗で割った数値)で25以上が肥満、18.5未満がやせ、22が標準と判定した。標準は糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかりにくいといわれる指標である。
男性の肥満者は30代から60代までがいずれもほぼ3割。79年との比較では10代(15〜19歳)から30代までがほぼ2倍に増えているのが目立つ。女性の肥満者は60代が31%で最も多く、肥満者の割合の推移は横ばい状態。
肥満の原因で、運動不足と考える人は男性で30、40代が7割を突破、女性は20、30代が8割を超えた。「毎日飲酒する」男性は40、50代でほぼ半数に達し、肥満傾向を後押しする形になっている。
体重や食事のコントロールを心掛ける人は男性に少なく、肥満であっても4割が無関心。女性は「きれいでありたい」「健康のため」を主な理由に、20代以上は7割以上の人がコントロールを心掛けていた。
ママチャリで子どもの怪我急増
自転車の前後に子どもを乗せる「ママチャリ」の事故が増え続けている。保育園・幼稚園の送迎、買い物に出かける際にはとても便利だが、転倒や衝突など事故がついて回る。
交通事故総合分析センターの98年のまとめでは、自転車同乗中の6歳以下の負傷者は1700人で、5年前の約1.6倍に増えた。
また国民生活センターが、親を対象に94年に実施したアンケートでは、「自転車に子どもを乗せている」と答えた中で、転倒や車輪への足の巻き込みなど、事故にあったことがあるのは53%を占めた。
子育て中の消費生活アドバイザーたちで作る「子育てグッズ研究会」では、近く親を対象にアンケート調査をはじめデータを収集、分析し行政やメーカーなどに問題点を要望するという。
また同研究会では、子どもと一緒に自転車に乗る時、つぎのような注意を呼び掛けている。
(1)必ず帽子かヘルメットをかぶせ、靴、補助いすのベルトを着用させる (2)補助いすの留め具は毎回確認する (3)補助いすの重量オーバーはしない (4)視界を遮らない風よけフードを (5)親は動きやすい服装で (6)雨の日は乗らない (7)自転車は整備し雨ざらしにしない。