BOOK−新刊から
★孫正義 起業の若き獅子(大下英治著)
斬新なビジネス戦略で硬直的な日本の市場に風穴を開けたソフトバンク社長・孫正義氏の半生と事業拡張の軌跡を追ったドキュメンタリー。アルバイトを含め3人の社員と資本金1000万円で会社をスタートさせ、IT(情報革命)の旗手として躍進し続ける孫氏の経営での「決断力」「行動力」「判断力」は圧巻だ。孫氏は言う。「ぼくに、もっと大人になれと先輩たちは忠告する。(中略)が、ぼくは死ぬまで青くありたい…」(2800円+税、講談社)
★アジアと日本のルネサンス 「共生と民際化」
(上田正昭編著)
大阪府立中央図書館が開館以来、毎年開いている府民講座ライティ・カレッジシリーズの第3巻。「民際化」をキーワードにアジアの中の日本の過去と現在を考察しながら未来への展望を提示している。なお、既刊の「司馬遼太郎回想」(1巻)、「アジアの中の日本を探る」(2巻)は、日本図書館協会選定図書として指定されている。今後は、4巻も続刊される。(1600円+税、文英堂)
★シンポジウム 民主主義の危機(「世界」編集部編)
昨年、11月13日、東京・お茶の水で行われた同編集部主催の同名のシンポの記録。ガイドライン関連法、盗聴法、国旗・国歌法など、戦後民主主義を脅かすこの危機はなぜ生じたのか、その背景にあるナショナリズムの勃興の意味は何かという問題意識のもとに、11人の識者が現状の危機を訴え、未来への希望を切り開くうえで何が大切かを力説している。(440円+税、岩波ブックレット)
★天皇の神社 靖国(西川重則著)
初版(1988年)以来、増刷を重ね増補版として新たに発行された本書は、天皇と靖国神社の関係史をひもときながら、靖国神社の特殊法人化の動きと、それに連なるA級戦犯分祀問題についても詳しく論じている。
著者は、これらの問題に国家権力が積極的に介入し、有事法制の整備のもとで、分祀をアジアに対する侵略・加害の 負 の遺産の忘却に利用しようとしていると指摘している。(2000円+税、梨の木舎)