春夏秋冬
3兆円を超す不良債権によって再建が不可能と判断され一時、国有化されている日本債券信用銀行が孫正義氏率いるソフトバンク、そしてオリックス、東京海上火災保険などの企業連合に譲渡されることになった
▼同連合は、日債銀の株を10億円で取得し、さらに1000億円を出資する。同行には公的資金2400億円の資本増強が行われ、自己資本率13%台の優良銀行に生まれ変わると言う。ソフトバンク連合の取得目的は「本業の強化」に目的がある、と説明されている
▼孫正義氏は、佐賀県出身の在日同胞2世。現在、日本の実業界を席巻し、その将来の動向を左右する存在として熱い視線を浴びているベンチャー企業を先駆けた人物である。この事実は、マスコミも大きく扱ったが、一部の週刊誌報道に強い不快感を覚えた
▼巨額の日本国民の税金によって「化粧直し」された銀行が、外国人の手に渡ることに疑義をはさんだものだが、またもいたずらに差別感情が煽られている、という怒りを禁じ得なかった
▼そういえば、底の見えない平成不況の中、失業者の増大の一方で外国人労働者が職を奪っている、と怒りのほこ先が彼らに向けられ、ひぼう中傷の類の噂が一人歩きしたことがあった。これもまた一部の週刊誌が火付け役だった。そこには、労働環境を無視でき安く買いたたけるという、雇う側の根底にある事情はいっさい考慮されていない
▼弱者同士をたたかわせて漁夫の利を得る、というのは、農民収奪に躍起となった徳川幕府が作り上げた支配の論理、構造といわれる。それから約400年。変わったものは?(彦)