平壌レポート
外国で知った祖国=^物質的豊かさより精神的豊かさを
「若い人は新しいものに敏感だと言うが、周りの風潮に流されて、自分のオリジナリティを忘れてはいけないと思う。僕が英語を学ぶ目的も、祖国を強く豊かにするためです」と話すのは、平壌外国語大学英語学部5年のチョン・ソンミン君(23)だ。
同大には外国での生活経験のある学生、日本風に言えばいわゆる「帰国子女」が少なくない。チョン君も、外交官の父とともに15歳から6年間、マカオで暮らした。
当時、マカオで彼は、彼と同じような外国人生徒が多く学ぶインターナショナルスクールに通った。資本主義国から来た生徒たちが集まるその場所には、朝鮮の学校のような「生徒同士が助け合う姿」はなかった。集団主義的な生活に慣れ親しんだチョン君にとって、個人主義が支配する空間は居心地が悪かった。
「毎日ただ愉快に、楽しく過ごせばそれでいいという価値観。彼らは社会や集団のために有益なことをするという抱負を持つ必要性を感じないようだった」
また、朝鮮に対して悪いイメージを持つ生徒たちと、感情的な対立や衝突が起きたこともたびたびあった。「朝鮮人は自分の国しか知らないから朝鮮が最高だと言う」と挑発する生徒にチョン君は次のように答えた。
「朝鮮では学生が経済的な心配をせずに学ぶことができる。でもここには、授業料を工面するためにバイトしている子もいるじゃないか。僕は、外の世界を知らないからじゃなく、むしろそれを見て体験したからこそ、自分の国のいいところを確信できるようになったんだ」
実際、朝鮮ではチョン君のように海外で暮らす子どもたちも11年の義務教育が受けられるよう制度的に保障している。
6年間のマカオ生活で学んだことは、今の彼の信念を築くベースとなった。
「マカオのクラスメートたちは、物質的に豊かかどうかを基準に他国を評価したが、朝鮮で生まれ育った僕は、人、つまり精神的な豊かさを基準に社会を見ることができる。他国に追従する安易な選択肢を選んではいけない。僕たちの社会の価値観は何にも代え難い大切で素晴らしいものだ。それを基礎にして、朝鮮が世界地図の上で輝くようにしなくてはならない。その責任と役割を担っているのがわれわれ若い世代だ」 (金志永記者)