営業しています

「竹の子」/神奈川・川崎市 居酒屋 
秘伝は実家のコチュジャン


「独自の辛味」研究欠かさず
客の声、すぐメニューに  l

 神奈川県川崎市川崎区の桜本商店街。買物客でにぎわうその一角に、居酒屋「竹の子」がある。キムチやチヂミ、チャンジャなど、同胞にはおなじみの朝鮮料理を気軽においしく食べられると、地元住民には評判の店だ。安宰烈さん(42)、金相順さん(41)夫妻が店を切り盛りする。

 安さんは朝大工学部を卒業後、亡くなった兄の乾物屋を手伝ったり、居酒屋で働きながら、23歳で調理士免許を取得。結婚後は同県海老名市で乾物屋を営んでいた。だが、1988年に交通事故に遭い、店の経営もままならなくなった。飲食店を持つ夢を持っていた安さんは「事故を機に心機一転を図ろうと思い」、居酒屋を始めることを決意。川崎市に移り、89年3月に営業を始めた。

 店の売りの1つは「辛い料理」。「スジ鍋」(1000円)や「辛口肉豆腐」(750円)は定番メニューだ。「私たち同胞は食べ慣れているけど、日本の人たちには新鮮な味なんでしょうね」

 実家でもある亡き兄の乾物屋が店の真横にあり、辛味のベースになるコチュジャンやキムチなどの仕入れは、そこから行っている。本人も乾物屋だっただけに、朝鮮の食材には詳しく、コチュジャンも本場産。細かい配合など、肝心の「店の味」は秘密だそうだが、「店独自の辛味を生み出すためにいろいろ研究しています」。

 もう1つの売りは「客の声を即、メニューに反映する」ことだ。安さんは「常連客は『たまにはこういうものが食べたいなあ』と気軽に言ってくれる。それで早速、試して見て、好評ならすぐメニューに入れるんです。お客さんの声を生かすことを第一に考え、ちょっとした意見も参考にします」

 客層の多くはトラックやダンプカーの運転手だが、地元住民も多く、半数以上が同胞だという。

 「お客さんは飽きるのが早い。その時の旬や流行を考え、常に目新しい物を取り入れることを心掛けています」と安さん。もともとは焼肉屋を開きたかったそうで、「商売が軌道に乗ったら焼肉も始めたいですね。先の話ですが」と笑った。(柳成根記者)

◇          ◇

 神奈川県川崎市川崎区桜本1―8―10 TEL  044・299・5007

 交通手段=JR東海道線・京浜東北線・南武線川崎駅から「大師」行バスで「四ツ角」バス停下車、徒歩
                   5分

 営業時間=11時〜14時、17時〜24時(月に1〜2回の休業日あり)

TOP記事 インタビュー 社  会 経済・経営