やさしいトンムたちに囲まれて
茨城朝鮮・中級部に編入した権良一さん(中3)の作文


 昨年末に茨城朝鮮初中高級学校に編入した権良一さん(中3)の作文を紹介する。彼は現在、兄の権赫男さん(高1)と、妹の権柱梨さん(初6)と共に寮生活を送っている

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 昨年の暮れ、僕は茨城朝鮮初中高級学校に編入することになった。不安な気持ちを抱えながら、オモニ(母)と兄、妹と一緒にハッキョ(学校)を訪れ、1日見学した。初めてハッキョを見た瞬間、その小ささにちょっと驚いた。

 しかしそれ以上に驚いたことがあった。それは、高校の教室の前を通った時に、すれ違う先輩たちみんなが挨拶をしてきたことだ。知っている人ならわかるが、知らない人に挨拶するなんて前の学校では想像すらも出来ない光景だった。それを見て、すごくいい学校に来たなぁと思った。

 その後、中学3年生の前で紹介された時は、はずかしくてまともに皆の顔を見ることが出来なかった。見学も終わり、帰ろうと車に乗った時に、彼らはいろいろ変なポーズをして、手を振って見送ってくれた。

 彼らの顔を見るうちに、今までの不安は少し消え去り、これから始まる生活への楽しみが自然と心の底からわいてきた。

 車中で僕は、初めての寮生活をめぐって身の周りのことを全部一人で出来るのか、トンムたちとすぐになじめることが出来るのかなど、いろんな思いを巡らした。

 見学の2日後、学校が休みだったので、寮生活からスタートした。わからない事が多かった僕に、当たりまえのように何から何まで一つずつ教えてくれるトンムたちを見て、人のありがたみをしみじみと感じた。

 ハッキョでは皆がやさしく、声などをいっぱいかけてくれて、すぐになじむことができた。

 1ヵ月がたち、冬休みになったので、オモニが僕ら3人を迎えに来た。車中ではハッキョの話でもちきりだった。

 その日の夕方、テレビを見ているとニョドンセン(妹)が「今日はオモニの誕生日だよ」と教えてくれた。僕はすっかり忘れていた。同時に「どうせヒョンニ(兄)も忘れている」と思った。その時、ヒョンニがウリマルで書いた紙を持ってきて、少し照れながら「今日はオモニの誕生日だろう。この言葉を3人で言うぞ」と言った。

 僕はびっくりした。今まで誕生日プレゼントさえあげなかったヒョンニからお祝いの言葉を言おうっていったからだ。

 夕飯の時間に僕と妹はヒョンニの合図でオモニにお祝いの言葉を送った。一瞬驚いたオモニが、やさしい声で「ありがとう」といってくれた。

 僕は、ウリハッキョに来てヒョンニがすごく変わったなぁと思った。同時に高校に行ったら1日も早くウリマルを覚えて、トンムや兄妹とウリマルでたくさん話がしたいと思った。

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