今春、障害児受け入れる群馬初中
初級部児童に講演
共に生きる意識育む、体験学習など様々な試み
「親切にしたい」、素直に共感
群馬朝鮮初中級学校(前橋市)では、子供たちが福祉問題をより身近に感じられるよう、福祉教育を積極的に取り入れている。地元の福祉施設での体験学習や障害を持つ講師による講演会など、子供たちが直接、障害を持つ人たちと接する場を、様々な形で設けている。
情操教育として
同校が福祉教育を取り入れ始めたのは一昨年。県立身体障害者リハビリテーションセンター職員、妹尾信孝さんが、同校を訪れ、講演したのがきっかけだ。
妹尾さんは、四肢と言語が不自由な自らの体験を全国で講演している。県教組から妹尾さんを紹介された同校では「ぜひ朝鮮学校でも」と依頼。以降、昨年3月にはリハビリセンターで生徒が体験学習を行うなど、交流が続いている。
同校の福祉教育への取り組みについて、初級部1年生担任の玄奉和さんは「群馬初中では、情操教育として大きく力を入れている分野」と強調する。
「障害を持つ人たちはたくさんいるんだという現実に触れることで、子供たちの視野を広げてあげたい。障害者から『一歩引く』のではなく、自分から接し、『共に生きる』気持ちを、子供たちが持てるよう、心掛けています」と、玄さんは語る。
気持ちに変化を
同校初級部には今春、足の不自由な児童を初めて新入生として迎え入れる。受け入れる子供たちの心構えをしっかりとさせようと、同校では十日、妹尾さんを招き、初級部1、2、3年生、計27人の前で講演してもらった。「幼い子は戸惑うかもしれないが、あえて妹尾さんに実際に来てもらうことで、子供たちの気持ちに何らかの変化が生まれれば、と思った」(玄さん)。
初めのうちは落ち着かない様子も見せていた子供たちも、話にだんだん引き込まれていく。妹尾さんから視線を外そうとしない。仲間同士が理解し、思いやり、支え合う大切さを説く姿に、すすり泣く男の子の姿も見られた。
子供たちに感想を聞くと、「何回いじめられても友達を作ろうと頑張って、友達ができたのはすごいと思った」(高廉くん、3年)、「周りに体の不自由な友達がいたら、親切にしてあげたい」(李京美ちゃん、2年)など、障害を超えて友情を育んだ妹尾さんの話に感動を覚えたようだ。
妹尾さんは「前向きさ、一生懸命さを感じる」と、同校の福祉教育を評価する。また、玄さんも「群馬だけでなく多くの朝鮮学校で、福祉教育をもっと幅広く、積極的に教育の場に取り入れていければ」と語る。 (柳成根記者)