コンスタントな集まり続け、5年目迎えるムジゲ
ネットワークの基本大事に、会報通じて全国の会員とも連絡
14日、東京・文京区役所内で、今年初めての心身障害者を抱える家族のネットワーク組織ムジゲ(虹)の例会が開かれ、3組の家族、群馬の県立身体障害者リハビリテーションセンターの妹尾信孝さん夫妻が参加した。月1回の集まりを続けながら今年で5年目を迎えたムジゲは、会員も40家族となり全国的に広がりつつある。
初めての顔も
ムジゲは1月30日、東京・北区の東京朝鮮中高級学校の多目的ホール(食堂)で発足後、初めての新年会を開いた。参加したのはムジゲの会員10家族、40人、そして、ボランティアの朝鮮大学校生ら。会員が増えたことで、中には初めて顔を合わせたという人や、名前と顔が初めて一致したという人など様々だった。また、個人、団体からカンパやチャリティ品などが寄せられ、全員でゲームをしたり、楽器を演奏したりなど楽しい一時を過ごした。
金仁淑さん(33=東京・板橋区在住)は、「初めての新年会だったけど、1年に何回かこうして顔を合わせることは大事だと思う。知らない人も参加していたということは、それだけ会が成長した証拠でしょう。楽器に触れたり、歌を歌ったり、リズムに乗っている子どもたちを見ているだけで楽しかった」と言う。
こうした様々な意見、感想、出来事のすべてを、来られなかった人たちにも伝えるため、会報「ムジゲ通信」を発行し、全国の会員と連絡を取っている。手書きから始められた会報は、今ではパソコンで制作され21号を数えた。
バリアフリー
ムジゲは申桃順さん(37=東京・足立区在住)が親しい友人に声をかけ、当初6人で始まった。同胞社会で考えが及ばなかった、障害者を持つ家族をネットワークするという一定の役割を果たすことができたのではないか、という。
「やっとここまで、という思いと、まだまだこれからだという2つの思いがある。同胞の中でムジゲへの理解を広めていくことも大事だが、最近よくバリアフリー化(障害者、高齢者の生活や活動に不便な障害を取り除くこと)と言う言葉が使われているにもかかわらず、新しいマンションは段差があるものばかり、障害者全体について、考えることは沢山ある」(申さん)
また、ムジゲの名は全国的に知られるようになったものの、全体を見渡すと、障害者を抱える家族の中にもまだまだ表に出たくないという人が多い。「ムジゲの名と反比例して、身を構えている家族もいるはず。そういう人たちをどう網羅していくのかが、今後の課題」と、金さん。
障害者を抱える家族と一言で言っても、障害の種類は様々だ。互いの心を支え合いながらネットワークを大事にしていくという基本に沿って、ムジゲを今後、どのように発展させていくのかということだろう。
皆で旅行に
権貞美さん(34=東京中野区在住)も当初からのメンバーの一人。総聯のイベントには必ず出席していた権さんは、これまでそうした場所で自分の子ども以外の障害児に会うことがなかったという。
「障害者用の休憩所を設ければ、車椅子でも参加できる。子どもたちのためにはマットを敷くなど、ちょっとしたことで来やすくなる」と、提案する。
5月に行われるイベントには、障害者用のテントを張ることや、春以降、全国の会員たちとの旅行も組織することなどを決めた。(金美嶺記者)