「iモード」止まらぬ人気
豊富な情報量と手軽さがヒット
加入数500万件、サイト数は7500/次世代端末、将来性大
企業も着目、ネットビジネスに続々参入
NTTドコモの携帯電話によるインターネット接続サービス「iモード」が、消費者と経営者、双方から大きな注目を集めている。昨年2月のサービス開始から1年余りで、加入数は500万件を突破。ユーザーの拡大に目を付けた大手企業やベンチャーが続々と専用サイトを開設しており、その数は7500以上に達するなど、勢いは止まる気配を見せない。iモード人気の真相とiモードネットビジネスの現状を見た。 今までは、パソコンや携帯情報端末(PDA)など、比較的かさばるモバイル機器で行ってきた出先でのインターネットを、小さな携帯電話1つでこなすことができる。従来の携帯電話と同様、各メーカーからiモード対応の端末が発表されている。 その普及ぶりはまさに破竹の勢いだ。当初こそ消費者の関心は今一つで、100万件を超えるのに半年かかったが、その後は2ヵ月に100万件のペースで増え続け、今年2月に400万件を突破、3月には500万2000件(15日現在)と大台に乗った。 日本国内での携帯電話契約数は約5000万件(同)なので、すなわち携帯電話の1割がiモードということになる。 同様のサービスは他社でも行っているが、サイトの質と量では追随を許さない。 開始時に65だったサイト数は現在、ドコモの公認サイトと非公認・私設サイトを合わせて7500以上。1ヵ月に1000の割合で増え続けている。試しに、iモード版「ヤフー」である検索サイトの1つ「i―Musium」のホームページで「新着サイト紹介」の欄を見たところ、3月29日時点で928件にも達していた。 1つはパソコンやPDAに代わる手軽な端末としての機能の充実さ、いわゆるモバイル・インフラとしての効果である。業務連絡や在庫確認を外出先からできるよう、社員に持たせる企業もあり、業務の効率化に貢献している。 バイク便大手のダットジャパンでは昨年8月、これまで通常の携帯電話やポケットベルを使っていたドライバーと本社オペレーターとの連絡用にiモードを導入した。結果、連絡を受けてから電話を掛け直す2度手間がなくなって所用時間が半減したうえ、聞き漏らしなどのミスがなくなり、情報伝達の確実性もアップしたという。 そして、もう1つはネットビジネスとしての可能性である。インターネットというとパソコンのイメージが強いが、サイト数からも明らかなように、iモードへの参入数もだいぶ増えてきた。 現在、最も本腰を入れているのは、ECを積極的に取り入れている金融業界。最近も、さくら銀行が「モバイルバンキング」への参入プランを具体化させたほか、野村証券もオンライン株取引サービスを今月1日から始めた。航空各社や大手書店などもオンライン予約を扱っている。 携帯電話であるiモードには、消費者に常に持ち歩いてもらえるという利点がある。だから、単にサイトを通じて企業宣伝を打ったり、電子決済を行うにとどまらず、移動通信ならではの特色あるサービスも可能である。 例えばリクルートでは、自社が運営する飲食店検索サイトで探した店で、そのサイトの画面を提示すれば割引サービスを受けられるという仕組みで、実際の店舗と提携を図り、客足を引っ張っている。 画面がパソコンなどに比べて小さいため、必然的に情報量が制限されてしまうことや、小さいボタンでも入力作業がしやすいよう工夫が必要なことなど、携帯電話の利点も裏返せば欠点にもなる。だが、これら むしろ、新世代PDAとしての将来性が高く買われているというのが現状と言える。今後も消費者と経営者、双方の需要は伸びそうだ。 |