私の会った人

中山千夏さん


 6歳で伝説的な名舞台「がめつい奴」で天才子役としてデビュー。以来、役者、歌手、演出家、司会、参議院議員など多彩な才能を発揮してきた。このところは、作家活動に専念中。

 「みんなとワイワイやるのが役者だし、自分のペースで、わがままにできるのは作家だから、こっちの方が好きですね」と謙虚に語るが、「古事記」を女性の視点で現代語訳した「新・古事記伝」は原稿3千枚の大作。旺盛な好奇心と探求心、そして自由な発想によって生まれた。 古代史の謎解きは以前から好きでした。古文を自分流で読んでいくと、楽しい発見がいっぱいあります」

 その新発見とは、神話は男女平等の世界であり、国境のない時代に、人々は自由におおらかに生きていた、ということ。それは、現代人が国家や社会など、様々な制約に縛られる窮屈な生き方とは対照的だったと、と目を輝かす。

 小説からエッセーまで含めると、著書は50冊ほどになる。その中で一貫して語り続けているのは、やはり「女性の自立」であり、「反戦と平和」である。

 「戦争というのは、急に始まるのではない。そのだいぶ前から、少しずつ、自由にしゃべれない、自由に書けない、という世の中になってくる」

 ドイツやイタリアでは、侵略のシンボルとして使われた国旗や国歌が葬られたのに、日本で「君が代」、「日の丸」がそのまま復活したのは、典型的な例だと語る。 (粉)

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