ヒットの真相

カメラとインスタントカメラ

格安機人気で市場活気、操作の手軽さ受ける


 カメラといえば、35oフィルムを使う一眼レフやコンパクト機が主流だが、最近、この35oカメラとは構造が異なるものの、カメラの新たなジャンルとして市場を活気づかせているのが、低価格インスタントカメラとデジタルカメラである。

 インスタントカメラはその名の通り、即席現像・プリントが売りだが、技術コストが高くて価格を抑えにくいことが普及を妨げていた。

 だが、同じ発想から生まれた「プリクラ」が若者の間で大ブームになったことから、このプリクラの機械を気軽に持ち歩く発想で、これまでの高価なイメージを覆す小型・軽量・低価格機が続々と市場に投入された。一時期は下火だったインスタントカメラは、一気にヒット商品の仲間入りを果たした。

 富士フイルムの「チェキ」(1万円=価格はいずれもメーカー希望小売価格)は、現在も品薄状態が続くブームの火付け役。プリクラばりのシール型フィルムを採用したトミーの「シャオ」(3300円)や、老舗の日本ポラロイド「ジョイカムヒッパレー」(3680円)は、画質は決して良くないが、おもちゃ感覚の圧倒的な低価格が魅力だ。

 一方、パソコンブームに乗って急速に普及しているデジカメも、やはり一昔前は高くて庶民にはとても手が出せないシロモノだった。デジカメの画質と本体価格を左右するのは画素数。画素が大きいほど目が細かく高画質になるが、価格はその分、高くなる。逆に画素が小さいものは格安になるが、目が粗く低画質になる。現在は300万画素を超える高級機も登場している。

 100万画素以下でも10万円は下らない時代が長かったが、パソコンの普及によるメーカー間の価格競争で市場が活性化し、100万画素レベルなら3万円前後と手の届く辺りまで落ち着いてきた。トミーの「ミーシャ」(7800円)は25万画素、バンダイの「C@mail」(7800円)は12万画素ながら、年賀状や電子メールに画像を添付する程度なら十分なコストパフォーマンスを誇る。

 これらのヒットの要因には共通点がある。徹底した手軽さが受けた点だ。

 インスタントカメラとデジカメは構造こそ異なるが、小型で低価格、簡単操作、その場で写真を見られることでは一致している。多機能をあえて廃して「手軽で簡単」をアピールしたことが、一般家庭への普及につながったと言える。

 カメラメーカーのみならず、電子機器メーカーや玩具メーカーなどの異業種が続々と参入していることも、市場への刺激になっているようだ。

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