知っていますかー朝鮮半島 なんでもはじめて
ニンニク
早くも檀君時代に登場 「堕落を防ぐ」仏教では禁食 本紙でもたびたび取り上げた(「健康・趣味」欄)、朝鮮半島を代表する食材のニンニク(マヌル)。漢字では大蒜と書く。古くから世界の各地で食されてきたが、今や日本でも欠かせない香辛料、食品として生活に根付きつつある。 エジプトのピラミッド建設にたずさわった労働者たちが、ニンニクなどを食べて体力をつけ、壮大なピラミッドを完成させた話は有名である。6000年前に描かれた壁画にそのことが記されている。 朝鮮半島でも、93年に朝鮮でその墓が確認され王陵が立てられた建国の始祖、檀君(約4300年前)にまつわる話のなかにニンニクが登場する。つまり、同じ洞窟で生活していた熊と虎が天帝の子である桓雄に「人間にして下さい」と願いで、桓雄はヨモギ1束とニンニク20個を与え「これを食べて太陽に当たらなければ人間になれるだろう」と渡した…、というくだりである。 建国にまつわる話のなかに出てくるほどだから、いかに昔から朝鮮民族の生活の身近にあったかを知ることができよう。 ところでニンニクのルーツだが、現在、食べられている栽培種の他に類似した野生種が発見されておらず、諸説紛々である。 有力な説としては、旧ソ連時代の世界的な遺伝学研究者バビロフが主張した中央アジア付近などがある。 しかし、ニンニクはあまり寒い土地では栽培できない点、記録に出てくるもっとも早く食用にされたのが前出のエジプト、そしてギリシャなど地中海性気候の温暖な地方であることから、これらの地域が原産地ではないかという説が近年、語られ始めている。 その効能は、朝鮮最初の医学書「東医宝鑑」(1613年)にも記載されているように、体力増強と強壮薬として重宝された。 それゆえ、4世紀以降の仏教社会では、修行僧の堕落と迷いを防ぐために酒と共にニンニクを食べることを禁じた。 |