歴史的な平壌対面と南北最高位級会談

外国、日本各界、各国の声


外国、日本各界の歓迎談話

歴史的な瞬間=^村山富市

  55年間もの長い間、緊張と対立の関係が続いてきた南北の首脳が平壌で出会ったことを心から歓迎する。世界が注目した、大変劇的、歴史的な瞬間だった。

 これからさらに、お互いの信頼関係構築や、協力が進み、統一へと向かっていくことを願ってやまない。

 南北間の平和は、ゆくゆくは東アジアの平和にも大きな影響を及ぼすであろう。南北間の関係改善に足並みをそろえ、アジア全体が真の平和へと歩んでいくことを望んでいる。

 また、これを機に、日朝国交正常化も円滑に行われるよう努力していきたい。(日朝友好議員連盟会長)

対面通じ市民も融和/槙枝元文

 金正日総書記が直接、金大中大統領を出迎えた意味は大きい。2人の握手は歴史的和解の握手。その表情から、この2人が話し合えば南北間にもはや逆戻りはあり得ず、確実に民族団結へ進むとの印象を受けた。

 先日、南を訪れた際、大統領に「朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長」の肩書の名刺を渡したら、「日本でも(統一支持運動を)頑張っていますね」と声をかけられた。南北ともに望むのは自主的な統一。南北が結び付けば、南にも米国に頼らない自主性が沸き、1つの民族として主体的に動いていくはずだ。

 南北の市民の喜びようにも、親しみを感じた。今回の対面を通じて市民同士の融和が成し遂げられた。単に首脳同士が会ったというだけではない意義はここにある。 

 統一への展望は開けてきている。日本でも運動に一層、拍車を掛けたい。(朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長)

民族のことは民族で/星野進保

 ともかくおめでとう。大歓迎だ。ただ色々な問題はあるだろうし、一筋縄ではいかないかもしれない。でもやっぱり同じ民族。トップ2人の握手は、民族の問題は民族でやっていくという気持ちの表れだ。ここ数年、南北はお互い知り合うための努力を積み重ねてきた。今回の出会いをきっかけに信頼関係を作っていけば、大同を取って小異を捨てるやり方でいい方へ進んでいけるのだろう。2人が会った意味は大きい。

 また先日の北京訪問以来感じていたが、金正日総書記はやはりなかなかの人物だという印象を持った。昨日の空港での登場は、従来流布されていたネガティブなイメージを打ち消した。

 日本は最低限、南北がいい方向に行くために邪魔をしてはならない。またそのために役割があるのならば手伝うべきだ。そしてそれと並行しながら国交正常化を進めていくべきだろう。
(総合研究開発機構理事長)

平和願う民族の対話/久保田満宏

 朝鮮半島の分断55年以来初めて実現した、南北間の歴史的対面と最高位級会談を心から歓迎する。

 今回の会談が平和を願う民族の対話となると確信している。

 同時に、金日成社会主義青年同盟との交流を長年にわたって行ってきたわれわれは、引き続き交流を深めるとともに、今回の会談が国内外の多くの支持と支援が得られるよう力を注いでいきたい。

 また、会談の成果を踏まえて、民間レベルの交流がより一層深まることと、それが日本をはじめアジア地域での交流につながることを願う。(日本青年団協議会会長)

賢明で勇敢な指導者/バーナード・クリッシャー

 金正日総書記が金大中大統領を平壌空港で出迎える場面を見て、アポロ11号が人類初めて月面に着陸した時の映像を思い出した。この2つの出来事は、人は決心さえすれば何でもできるということを示している。

 今回の対面は、賢明で勇敢な2人の指導者が成し遂げたものだ。朝鮮民族は大国の勝手な論理によって分断されたが、えい智ある両指導者が今、互いに知恵を出し合い信頼関係を築こうとしている。その第1歩が、両者がまず会うことにより、半世紀にわたって山積した多くの問題を徐々に解決すべく共に取り組むことであった。

 南北双方が外部からの脅威を感じず、より安心できるようになれば、共同で経済を発展させ、軍事支出のコストを減らすチャンスが巡ってくる。南北間の信頼が徐々に増すことは世界中の利益になる。米朝間でも、国交関係樹立を視野に入れた雪解けの時代が見える。
(元「ニューズ・ウィーク」東京支局長)

新しい歴史への予告/ブルース・カミングス

 いままでのところ、南北正常会談は非常にうまく行っているようだ。特にうれしく思ったのは、順安空港で金正日総書記と金大中大統領が温かい握手を交わす姿を見た時だ。

 南北朝鮮問題を研究するすべての人々は、歴史上前例のない対面が朝鮮半島における和解と平和の新しい歴史への予告となることを祈っている。(米シカゴ大学歴史学教授)

分断の地に橋かけた/カリン・リー  ジョン・フェッファー

 われわれは世界の人々とともにこの歴史的な瞬間を祝っている。人々は、50年以上の間、分断され続けた地に象徴的な橋をかけた金正日総書記と金大中大統領が握手を交わす光景を見ながら、喜びを感じずにはいられなかっただろう。

 会談に対する期待が高まる一方、私たちには論ずべき半世紀以上の歴史が存在し、今後何年もかけて解決すべき問題が山積していることを忘れてはならない。私たちは両首脳が大いなる忍耐力を示し、前途に立ちはだかる難題の解決に向け、しっかりと歩み続けることを信じている。

 中国、日本、ロシア、米国政府は今回の会談を一様に支持している。これから私たちはこれらの国が朝鮮の和解を支持する国際社会を創りだすためのアクションを起こすよう働きかけるだろう。会談が朝鮮半島はもとより東アジア、世界に正真正銘、かつ恒常的な平和をもたらすことを願ってやまない。
(アメリカン・フレンズ・サービス・コミティー東京事務所共同代表)

かつてない明るい話題/殷秋雄

 歴史的な南北最高位級会談の実現は、当面、アジアの平和と安定に主動的に大きく寄与するものである。このことは、朝・日関係に新たな前進をもたらす明るい展望を開くうえでも、肯定的に作用すると思う。

 金正日総書記がさきに中国を訪問したことが、今回の南北最高位級会談の雰囲気を盛り上げる布石になったといえよう。また、金正日総書記とロシアのプーチン大統領の会談も成功するものと信じている。

 かつてなかったことで、大変明るい話題を提供している。

 こうした朝鮮半島をとりまく情勢と環境の好ましい変化は、今後、アジアと世界の平和と安定にとって大きな意義があり、歓迎すべきことである。(東京華僑総会会長)

各国の反応

中国 /「積極的な成果希望」
ロシア/好ましい対話の開始
米国 /「大変重要、継続望む」

 分断後、初の南北首脳会談のニュースは、金正日総書記と金大中大統領が握手し合う平壌発の映像とともに、世界を駆け巡った。中国、米国、ロシア、日本など各国と国際機構の反応をまとめた。

 中国の政府と各報道機関は13日、両首脳の動向などを異例の早さで報じた。

 中国外務省の朱邦造・報道局長は同日の定例記者会見で、会談に「歓迎」を表明し、「南北関係の改善と朝鮮半島の平和と安定維持につながるよう、積極的な成果がうまれることを希望する」と述べた。また、「中国は、南北が対話と協商を通じ、最終的に自主的、平和的に統一を実現することを一貫して支持する。今後も、朝鮮半島の平和と安定維持のため、建設的な役割を担うつもりだ」とも述べた。

 一方、国営中国テレビは同日午前、金大中大統領が平壌空港に到着した35分後の定時ニュースで報道した。生中継ではなかったが、中国の報道としては異例の速さで、関心の高さを物語っている。中国の立場を代弁する新華社通信と人民日報は、金正日総書記と金大中大統領が握手をかわした内容などを報じただけで、論評は避けた。

 米国ホワイトハウスのスポークスマンは13日、南北の指導者間の直接的な接触と論議がもたれた事実は大変重要な出来事だと述べた。また、われわれは金大中大統領が受けた温かい歓待をみて勇気づけられたとし、今回の会談で「朝鮮半島の緊張が緩和されることを希望する」と指摘した。

 また国務省スポークスマンも、「今回の会談が朝鮮半島緊張の根本的減少に向かう出発点になることを希望する」としながら、金正日総書記の平壌空港での出迎えはその希望的な兆しの表れであるとしつつ、歴史的な出会いがこれからも継続されることを願うと語った。

 ロシア外務省のアレクサンドル・ロシュコフ外務次官は13日、タス通信に対し、「両国の対話が始まり、双方が建設的な提案を交わしはじめたのは好ましい」と評価した。

 アナン国連事務総長は13日、国連のスポークスマンを通して発表した声明で、南北首脳会談の開催を歓迎し、今回の会談が南北間の相互信頼と協力において新たな道筋が切り開かれることを希望していると明らかにし、会談を開催した金正日総書記と金大中大統領のビジョンと知恵に敬意を表するとも指摘した。

日本政府 各政党/「夢、実現してほしい」
問われる日本の平和戦略

 日本政府と与野党も一様に歓迎の意を表明した。

 青木幹雄官房長官は13日の記者会見で「テレビで両首脳が握手し合うのを見て、非常に感慨深かった。円満に終わるのを願っている」と語った。

 シリアのアサド大統領葬儀のため、ダマスカスを訪問した河野洋平外相は13日、弔問後に記者会見し、「いい滑り出しだと思った。2人のリーダに分断民族の夢を実現してほしい」と語った。自民党の野中広務幹事長は「今、われわれの近くで、大きな変革が起きようとしている。われわれは朝鮮半島や中国をはじめとするアジアの皆さんと信頼し、友好を深めなくて、日本の平和はあり得ない」と述べた。

 共産党の不破哲三委員長も「会談に踏み切ったのは、統一に向かって前進しようという意欲がないとあり得ない。日本が北朝鮮にどんな戦略を持っているかを問われる。日本には平和戦略がない。その立ち遅れが日本外交にとって、最大の問題だ」と指摘した。

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