6.13〜15、平壌での2泊3日

歓迎の人波に深い感銘
最も必要な相互協力、信頼

鄭夢準・大韓サッカー協会会長


 南北最高位級会談が行われた平壌での2泊3日は、現代史のなかでもめったにお目にかかることのできない「局面の大転換(Volte―face)」の現場を目撃できたという点で、貴重な経験であった。

 金正日国防委員長の空港での出迎えに続き、集まった平壌市民の歓迎の人波には深い感銘を受けた。沿道に出た市民の正確な数に関しては様々な意見があったが、60万人と言えば南の軍人を1ヵ所に集めたのと同じ数なので、その規模がどれほどか分かるだろう。



 私の宿泊したチュアム招待所は、大同江と平壌市内を一望できる景色のきれいな場所にあった。大同江に並ぶ丘陵を上がっていくと乙密台があり、そこからさらに行くと、チュアム招待所がある。平壌は、世界の他の都市のように広大な平野の真ん中に作られた都市で、その漢字の意味の通り、「平らに広がる都市」という印象が深かった。

 私が昨年末に平壌に行った際、案内員が「平壌の春夏はパリのような美しさだ」と誇らしげに語っていた。その通り、6月の平壌は木々があふれ街並みが整然としており、都市全体が公園のような印象を受けた。アジアサッカー連盟(AFC)のピーター・ベラタン事務総長は、平壌にしばしば訪れた際に金日成主席とも会ったこともあるが、その時に平壌の美しさをオーストリアのウィーンと比べたこともあったという。



 チュアム招待所からは綾羅島(5.1)競技場も見下ろすことができた。15万人を収容できる世界最大級の競技場で2002年ワールドカップの競技中一部を開催しよう、というのが南側の提案だ。ワールドカップ予選の2試合を開催するだけでも30万人の観衆を動員できる。この案に当初、ブラッター国際サッカー連盟(FIFA)会長と南の人士は懐疑的な反応を見せた。北側も「なぜ32競技中2競技だけを北でするのか、日本と共同開催するので参与はできない」と難色を示した。

 しかし今回の実務協議で北側は、「原則的に賛成し、南北最高位級が合意し、指示さえ下せば不可能なことではない」との立場を明らかにした。大きな前進であった。



 今回の訪北で受けた印象のなかで記憶に残るのは、北がすべてにおいて堂々としているように見えた、という点だが、これはとても幸いなことだ。南北関係を改善して行くにあたり、そのどちらか一方でも自信がないとしたら、事はうまく行かない。

 今回の最高位級会談で始まった局面の変化はまさに、心を込めて布石を敷いていく作業だと言える。双方が共に協力するという互恵的な姿勢と、相互の信頼が最も必要とされる時である。

(東亜日報6月19日付から要旨転載)

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