ロ・フンソ彫刻展
東京・銀座
「失ったのは記憶、されど行く」/浮遊する現代≠ヨの視点
東京・中央区銀座のギャラリー・オカベで6月26〜7月1日、ロ・フンソ(盧興錫)彫刻展「失ったのは記憶、されど行く」が開かれた。 ロは、1955年生まれの在日コリアン3世で、東京朝鮮中高級学校、東京造形大学彫刻科を卒業後、都市設計デザイン事務所で造形部門を担当。また、朝鮮大学校教育学部美術科、都内の朝鮮初級学校の講師も務めている。 昨年、京都市美術館で開催されたアルン展など、同胞の美術展に数多く出品している。 個展は95年の「現代を思ふ 土に想ふ」以来、今回が2度目で、陶(焼き物)を中心に木や真鍮(しんちゅう)を組み合わせた作品、全11点が出品された。 「ものたちはあふれかえり重なり 殻 となる」(1200ミリ×1200ミリ×2100ミリ)などの作品からは、次々と作り出される物や情報を消費しながら、せつなに生きることを強いる社会と、その中で散り散りに孤立していく現代の人々の姿が浮かびあがる。 陶によるレリーフ「集えば力となる」(490ミリ×900ミリ×H70ミリ)は、左右対称の半円形の中央から突き出た先端が互いに向き合っているという形状だが、近寄ると半円部分に無数の人型がひしめいているのが見える。 同じ壁面、片側にあるレリーフ「力と力は争うしかない」と、対をなす作品だ。 |