同胞アリラン会「老人憩いの家」オープン

飾磨・網干地区


市の補助金であんま機、テレビ、クーラーなど購入
1世ら統一の部屋≠ニ喜ぶ/自転車通いで健康促進にも

 兵庫県姫路市広畑区末広町1丁目に、飾磨・網干地区同胞アリラン会「老人憩いの家」が開設され、祝賀会が6月25日に開催された。「憩いの家」は、敷地15坪の総聯姫路西支部広畑東分会の1階を利用したもの。4月から畳をひくなどの準備を進め、この日のオープンに至った。

                                                                                囲碁を始めれば食事も取らず
                                                                                 朝から夜まで対局するという

 アリラン会は1995年10月18日、交流と親ぼくを深め、地域社会の発展のために貢献し、意義ある人生を健康で明るく過ごすことを目的に発足した。これまで5回の旅行会や、花見などを催し、交流を深めてきた。が、日頃から1世らが集い話し合ったり、娯楽を楽しめる場所はなかった。

 呉成根会長(74)は、「主義主張、所属団体の違いを超越し、共に楽しめる場を設けたかった。所属は違うが、共に日本の植民地支配によりこの地で暮らすようになり、苦労を重ねてきた1世たちだ。ここは単なる憩いの部屋ではなく、統一の部屋です」と、開設の思いを語る。

「ああ、楽ちん」

 同地域に住む1世同胞らは、祖国解放(45年8月15日)前、日本の植民地政策により、日本製鉄広畑製鉄所や広畑港運に強制連行(前者は社史では約1000人、後者は約300人の名簿が判明)、あるいは周辺の土木工事に従事した人たちがほとんどだ。彼らは共に力を合わせて解放後、学校を開設して子供らに民族の言葉と文字を学ばせるとともに、同胞社会の諸権利獲得に尽くしてきた。そうした1世だが、現在は総聯、民団の各団体に所属している。

 しかも、高齢のためその数も年々減りつつある。現在、アリラン会の会員は110人だが、その4割近くが入院あるいは通院生活を送っている。高齢者年金を受けているのは1割にも満たない。それだけに同胞社会では現在、異国の地で苦労してきた1世らをいかに慰労していくかという問題が提起されていると言える。

                                                                     同胞の7割が自転車で集まる憩いの家

 会では今回、オープンに際して「老人憩いの家施設補助金」として姫路市から30万円の援助を得て、あんま機や血圧機、テレビにビデオ、ラジカセ、クーラー、扇風機、電気ポットなど11種の設備を購入。また同胞らからは冷蔵庫や茶ダンスなどの生活用品と、囲碁、将棋などの娯楽用具が寄贈された。

 また会では、「老人クラブ運営補助金」として市からの補助も受けている。

 祝賀会には、小雨にもかかわらず、多くの1世らが参加した。呉会長の報告後、県同胞長寿会の李大煕会長の音頭で乾杯をあげた。早速、市の助成金で購入したビデオで、南北最高位級会談に関する映像をみ、喜びを分かち合った。

 李会長は「祖国統一を見ることができず、多くの1世がこの世を去ったが、彼らのためにもわれわれは統一を見なければならない」としみじみ語っていた。

 祝賀会も盛り上がり、あんま機を利用する人も。李京録さん(68)は、「とても快適。会には初めて参加したが、これなら毎日参加しても」とニッコリ。

 一方女性陣は、姫路みかんにどんぐりのムッを食べながら、会話がはずんでいた。姜旦連さん(68)は、「初めて顔を合わせた人もいるが、やっぱり同胞同士なので気が合う。ここには7割の人が自転車で来ているが、健康のためにも良い」と述べていた。

 「憩いの家」は、午前9時から午後7時まで毎日、開かれている。
(羅基哲記者)

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