取材ノート

統一想う1世の涙


 人は悲しい時だけでなく、嬉しい時にも涙を流す。その涙には様々な想いが込められている。

 南北最高位級会談を歓迎する祝賀会が全国各地で行われた。分断史上初めて実現した南北首脳の出会いの場面が映像で流れるたびに、感涙にむせぶ1世同胞たちの姿を見た。

 植民地政策により、釜山と下関を結ぶ「関釜連絡船」や、済州島と大阪を結ぶ「クンデファン(君が代丸)」などに乗って、強制連行や生活の糧(かて)を求めての渡日を余儀なくされた1世たち。「1つのせんべい布団に5〜6人で寝るのは当たり前。飯はもらい飯」など、彼らに笑顔はなかっただろう。

 1945年8月15日の朝鮮解放。誰もが喜びに溢れ、故郷に帰ろうと決心し、下関へと向かった。しかし、米軍の南占領により、帰国できなかった人も少なくなかった。そして祖国の分断に伴い、同胞社会も分裂した。

 その後まもなく朝鮮戦争が勃発(50年6月)し、離散家族も生まれた。

 南北に兄弟がいる在日1世もいる。様々な理由から思うように故郷を訪れることもできない。

 こうした1世たちの姿を見るたびに、彼らの統一への想いを今一度取材しておく必要があるとつくづく感じる。

 今回、南北の首脳は共同宣言を通じて、「北側の低い段階の連邦制案と、南側の連合制案が互いに共通性がある」「今後、この方向で統一を志向する」ことを確認し合った。これは祖国の統一が現実問題として進んでいることを意味している。

 1世と共に嬉しい涙を流す日もそう遠くはないだろう。         (羅基哲記者)

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