春・夏・秋・冬

 8月15日から18日まで、3泊4日の日程で予定されている離散家族の平壌、ソウル訪問。このニュースに熱い視線を投げ掛けている同胞たちは多い

▼南北にそれぞれ親戚、兄弟がいるAさんもそのうちの1人。もう10年前になるが、釜山に住むアボジの弟(叔父)がひょっこり、訪れてきた。解放直後に故郷に帰ったAさんのハラボジ、ハルモニの間に生まれた叔父だという。むろんAさんのアボジは、南で生まれた弟の顔を見たことがなかった

▼叔父は、日本に来たのは初めてではなく3度目だった。兄の住所も知っていたのだが、当局から接触はきつく禁じられた

▼「今回は事前に当局に申請し、許可が下りた。そして日本に来る前に、朝鮮総聯とはどういう団体なのか、などの講義を受け、帰ればどういう話をしたのか、生活状況はどうなのかなどの申告をしなければならない」

▼Aさんは当時、初級部6年だった長男を叔父に会わせた。今後、情勢が変わって行き来が可能になれば…と、考えてのことだった。その叔父と会った時、長男は元気良く「アンニョンハシニカ」とあいさつした。すると、あいさつを受けた叔父の目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちたという。「異国でよくも立派に朝鮮人に育てた」と

▼Aさんは、叔父が帰ってからどのような報告をしたのか知らない。その後も会う機会はあったが、別に聞きもしなかった。ただ、息子を朝鮮民族の一員として育てておいて本当に良かったという。「これからは彼らの時代。言葉を知らなければその輪にも加われないから」(彦)

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