エンテロトキシンに要注意


 雪印乳業大阪工場の製造した低脂肪乳による集団食中毒事件で、製造工程のバルブから発見されたのが黄色ブドウ球菌。人の体内に住む常住菌で、そのままだと問題にならない。

 しかし、これがエンテロトキシンという毒素を作り出すことによって、食中毒の原因となる。症状としては、下痢や腹痛、おう吐など。

 黄色ブドウ球菌が人の手を介して食品に移り、食物の中で増殖する際に、エンテロトキシンが作られる。今回、食中毒を起こした雪印製品からも、このエンテロトキシンが検出されている。

 雪印工場の製造工程からは別の食中毒菌のセレウス菌も発見されているが、これも腸管内でエンテロトキシンを作り出す。

 やっかいなのは、この毒素が熱に強いこと。通常の加熱では分解されない。菌が増殖した食品をお湯に入れ、100℃で40分ほど煮込んでもなくならない。しかも、においも味もないので、見た目の平気さに惑わされやすい。

 では、予防にはどうしたら良いのか。

 まず、「疑わしきは罰する」覚悟で、長時間、常温で放置されていた弁当などは思い切って捨てることをお勧めする。

 低温では増殖しにくいので、食品は冷蔵庫に保存するように心掛ける。肉や魚など生物を触った手で、生で食べる物はさわらない。

 調理の前には手を洗うようにする。

 生の肉、魚などを調理したまな板は洗剤でよく洗ったうえに、なおかつすすいで熱湯をかけるぐらいの配慮が必要だろう。

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