放置される3000人の北南被爆者

解決へ民族の力結集を

在日同胞被爆者と南の市民団体大邱で大会、共同声明


 在日同胞の被爆者団体と南の市民団体が今後連携して、朝鮮半島在住被爆者に対する日本政府の謝罪と補償を求めていくことを確認した。在日本朝鮮人被爆者連絡協議会(李実根会長)と南朝鮮の市民団体「原爆被爆者と共にする市民集会」(徐永謨共同代表)は6日、大邱市内で「核のない世界のための原爆被害者の補償を促す決議大会」を共催し、9日には共同声明を発表した。大会には、李実根会長(72、広島市在住)も参加した。

 大会で発言した李会長は約100人の参加者に、「政治的な理念を越え、民族の団結した力で日本の謝罪と補償を勝ち取ろう」と北南の連携を呼びかけた。自身も被爆者で在日朝鮮人2世の李会長は、今まで朝鮮民主主義人民共和国を11回訪問し、在朝被爆者問題の解決に尽力してきた。

 9日に発表された共同声明は、@北と南の被爆者の交流促進に努力するA被爆者の実態を究明し、日本政府に対する北南朝鮮、在日朝鮮人をはじめ、すべての被爆者共通の賠償要求案を作成するB北南両政府に対して共同賠償運動の支援を呼びかける―ことをうたっている。

 「原爆被害者と共にする市民集会」の徐永謨共同代表は、「原爆が投下され56年がたった今も日本政府は韓日条約で解決済みとしており、韓国政府も黙ったままだ。このままだと、被爆者の多くは亡くなり、被爆者問題は忘れさられる。今こそ、日本政府の責任を追及する時だと思い、李会長を招請した」(嶺南日報7日付)と話していた。

 現在、北側には928人(平均年齢69歳)、南側には2200余人の被爆者がいる。彼ら被爆者たちは、日本の植民地支配、被爆、戦後の援護切り捨てという「三重苦」を強いられてきた。

 北南朝鮮の被爆者は、日本の植民地支配により渡日を余儀なくされ、広島や長崎で被爆した人たちだ。日本政府には、過去清算の一環として彼らを援護する責任がある。しかし、半世紀以上たった今も、放置したままだ。加害者としての責任を一切果たしていない。

 南側に対しては80年から5年間、被爆者394人が広島・長崎の原爆病院で治療を受けるようにする措置を取り、91年には治療基金として40億円を提供したが、いずれも不十分かつ一時的なもの。北に暮らす被爆者については、「国交がない」という理由で完全に切り捨ててきた。

 それだけに、北南、在日の被爆者や関連団体が力を合わせ、日本政府に謝罪と補償を促していくことを確認し合った意義は大きい。

  李実根会長インタビュー

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