春・夏・秋・冬

 例年行われているピースボートクルーズ。大型船に乗って世界各地を周る旅だが、今年は平壌、板門店、釜山、サハリン、国後を訪れた。在日朝鮮人として同船に乗った留学同大阪本部に所属する文彰浩トンムに乗船記を書いてもらったが、充実した船旅であったことが十分に伝わってきた

▼その中でまず印象に残ったのは、「朝鮮籍」の6人が釜山に上陸できたという話。出発前は、半ば無理だとあきらめていたというが、6.15共同宣言の「生活力」がこんなところにも現れているのだと感じた

▼滞在した釜山では、民主化のためにたたかった人々や統一のために奔走する人々と交流を深めたという。軍事独裁政権時代や光州民衆抗争を肌で知る世代にとっては、この事の持つ歴史的意味は計り知れない

▼そしてもう1つ印象深かったのは、大学生をはじめとする日本人の若者たちが、元山港を離れる時、何度も何度も手を振って現地の人々と別れを惜しんでいたという話。だが、1度現地を訪れてみれば、素朴な国民性、清潔な街並みに触れホッとするという感想をたびたび耳にする

▼歴代首相として初めて小泉首相が訪朝した。今後、国交正常化に向けての具体的な話に入っていくだろう。戦後半世紀以上も不正常な関係が続いてきた両国。これからはピースボートのような市民交流もどんどん深まっていくだろう。その動きに後戻りがないことを願うばかりだ。(聖)

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