第27回初級学校中央サッカー 熱戦の3日間を振り返る |
東大阪 最後は「気持ち」で 年間130試合こなす
7月28〜30日の3日間にかけて静岡県時之栖スポーツセンター裾野グラウンドで行われた第27回在日朝鮮初級学校学生中央サッカー大会。11人制競技では東大阪、8人制競技では南武が優勝の栄冠を手にした。眼前に富士山を望む涼しげな景色と、それに相反するように照りつける熱い太陽の下、選手らは思いっきり緑のピッチを駆け抜けていた。熱戦の3日間を振り返った。(文=金明c・李東浩記者、写真=文光善記者) 決勝戦は東京第3との「東西対決」となった。チャンゴを使った東大阪、片やオレンジ色のぼんぼりを振りながら声をからす東京第3の学父母の応援で終始にぎやかなグラウンド。大会参加者の目は決勝戦に向けられた。 試合は東京第3が後半に先制。その4分後、東大阪はショートコーナーから1点を返し、そのまま延長戦へ。東大阪の許三方監督(28)は強調した。 「ここまできたら気持ちだけや」 試合は前後半1−1の延長戦5−0で、東大阪が参加40チームの頂点に輝いた。試合後、東大阪初級の金秀勇主将(6年)は「昨年は決勝戦で敗れてストレスがたまったけど、今年は必ず優勝しようとみんなが100%の力を出し切った。本当にうれしい」と笑顔で語った。 東大阪は、大会中6年生がチームの精神的な支えとなり、決勝戦にも全員が出場した。日本のチームも含め年間130試合をこなす同チームは1対1のディフェンス、ゴールに全員でボールを運ぶ組織プレーの練習に力を入れてきた。許監督は「毎年、優勝候補と言われながら結局、優勝まで24年かかった。この期間子どもたちはサッカーだけでなくウリマル、あいさつなど、生活面でも成長した」と大会を振り返った。 「東大阪の生徒、学父母たちにとってこの優勝は一生の思い出になっただろう」と、金秀勇主将のアボジの金一九さん(41)は感慨深げに語った。 一方、16年ぶり2度目の1部決勝戦進出を果たした東京第3の康成天監督(26)は「決勝進出は毎日の練習の成果がしっかり出せたから。いつも話している『みんなで走る、声を出す、勝つという心』の3つを選手たちがしっかり守ってきた。大会期間、大きく成長した選手たちをほめてやりたい」と語った。 南武 「みんなで得た勝利」 部員9人で勝ち抜く
南武と東京第9の8人制決勝戦。 「あと一つ勝てば優勝だ。楽しいサッカーをしてこい」。南武の梁桂鳳監督(36)が声をかけて選手たちをピッチに送った。南武の応援団は、オモニたちが華やかな自作のうちわを振りながら声をからして声援を送った。 試合は、一方的な展開となった。南武の選手らはボールをしっかりトラップして味方に正確なパスをつないでいった。試合を支配した南武が前半に3点、後半に3点を入れて6−0。圧勝での初優勝だった。監督選手らがみんなで輪になり声を出し合って勝利を喜び合った。 決勝こそ圧倒的な勝利だったが、そこまでの道のりは平坦ではなかった。 8人制競技が行われるようになったのは2001年の第23回大会から。南武は23〜25回、今大会と8人制に出場。昨年度は11人制に出場した。23回大会は2部優勝、24回大会は1部3位、25回大会はもう一歩のところで涙をのみ、1部準優勝で終わった。 今大会、山場は8人制で2度優勝している大阪福島との予選だった。試合は一進一退の攻防で事実上の決勝戦と言っても過言ではなかった。後半、南武がコーナーキックからヘディングでゴールを決め1−0で辛勝した。 「11人制の方がスリリングでおもしろいけれど、部員が少ないので8人制に照準を合わせてきた」(梁監督) 南武の部員数は9人。控えの選手が1人でもケガをすれば、出場も危ぶまれるなかで得た、念願の初優勝だった。 孫熙永主将(6年)は、「ここまで勝ち抜くのは難しかったけど、みんなで一生懸命練習して得た勝利。優勝はやっぱりうれしい」と笑顔いっぱいで語った。 大会結果および表彰 ▼11人制 1部:@東大阪A東京第3B大阪第4C名古屋 【1部賞】(1部に上がった学校に贈られる) 中大阪、岡山・四国合同、東京第1、京都第2、神戸、広島、北九州、京都第1 ▼8人制 1部:@南武A東京第9B大阪福島C大阪第4 【1部賞】 和歌山・奈良合同、東大阪 ▼「ポンドリ」応援賞 南武、名古屋、東京第3 [朝鮮新報 2005.8.4] |