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日本の仏教会代表団 開城を訪問 復元の霊通寺で合同法要

 【開城発=李相英記者】日本全国の寺院の住職、仏教徒、仏教関係者ら79人で構成された「日本代表聖地巡礼訪朝団」(名誉団長=臨済宗相国寺派管長・有馬頼底師、団長=横浜円満寺住職、西郊良光師)が5月23〜27日まで朝鮮を訪問した。訪朝団は25日、昨年10月に復元された開城・霊通寺を日本仏教徒の団体としては初めて訪れ、現地住職らとともに法要を行った。また、広法寺(平壌)、普賢寺(妙香山)など仏教ゆかりの地で朝鮮の仏教徒と交流を深めた。

完成度の高さに感心

大覚国師義天墓前法要を行う日本の仏教徒訪朝団

 25日午前11時前、名誉団長、団長ら第一陣が霊通寺に到着すると、現地の住職らが一行を温かく迎えた。「長い道のりをいらっしゃってお疲れでしょう」。有馬名誉団長は満面の笑みで彼らの手を握り返す。朝・日仏教徒の初めての出会いが実現した瞬間だった。

 つづいて訪朝団本体を乗せた大型バス4台が次々と到着した。復元された霊通寺を見た訪朝団メンバーらは開口一番、「すばらしい」「すごい」と驚きの声を上げ、その完成度の高さに感心した様子だった。

 訪朝団名誉団長の有馬頼底師は、京都仏教会の理事長で京都金閣、銀閣寺の住職も務める日本仏教界の大物。団長の西郊良光師も日本天台宗の重鎮で、天台宗宗務総長を務めた人物だ。

 「これだけの重要人物が集まり、しかも『聖地巡礼』と銘打って国交のない国を訪問することは異例」だという。「それだけ、今回の訪朝の持つ意義は大きいのではないか」(訪朝団メンバーの一人)。

霊通寺内を見て回る訪朝団メンバー

 訪朝団を迎えた霊通寺の住職らも、「日本の天台宗と一緒に法要を行うのは初めてだったので感慨深い。彼らがとても喜んでいたので、われわれもうれしい」と、満足げに話した。

 大阪統国寺の崔無碍住職は、「昔から開城は景色がよい場所として有名だが、そのなかでも霊通寺周辺の風光明媚さは際立っている。立派に復元されたので、これからたくさんの仏教徒が訪れる場所になってほしい」と希望を語った。

 訪朝団メンバーらは「開城・霊通寺復元落慶法要」「大覚国師義天墓前法要」「霊通寺神岩供養」などを通じて、天台宗の開祖、義天に祈祷を捧げるとともに、朝鮮人民のため、北南朝鮮の和合と統一のために祈った。

「日朝関係」思い新た

 義天の真影がまつられている敬先院へ向かって左の山間には、「神岩」と呼ばれる岩がある。父親の代から2代にわたり霊通寺の復元事業に関わっている武本俊さん(「心の広場」主宰)によれば、2つに割れたその姿が北と南に分断されている朝鮮を表しているように見えるのだという。岩は2つに割れているようで、実は下の部分がつながっている。「朝鮮は2つに分断されているが、根っこのところでは1つだ。南北朝鮮の統一を願い毎年『神岩』の供養を行っている」と、武本さんは話した。

 「神岩供養」の導師を務めた天台宗哲勝寺(新潟)の布施光然住職も、「天台宗の聖地でこのような経験ができて、とても光栄」「朝鮮側がわれわれを温かく迎えてくれたことに感謝したい」と感想を述べた。「日本と朝鮮が一日も早く仲良く手を取り合っていけたら、と感じる。新潟という土地柄、その想いはいっそう強い」。

 今回の訪朝団には僧侶以外にも、寺や住職に関わりのある人たちや関連団体の会員などさまざまな人びとが含まれた。岐阜で旅館を営んでいる杉山史さんは朝鮮の印象について、「景色はきれいだし、人びとも温かかった。日本で見聞きする情報とはだいぶ違う」。「真新しい文化財が多いわけが、半世紀以上にわたる植民地支配や戦争でたくさんの文化遺跡が破壊されたためという話も聞いた。日本と朝鮮の関係に思いを新たにした」。

(関連記事)

「仏教徒同士の交流を」 有馬頼底師(臨済宗相国寺派管長)

「細かい木を太い幹に」 西郊良光師(横浜円満寺住職)

[朝鮮新報 2006.6.1]