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〈第28回在日朝鮮初級学校学生中央サッカー大会〉 11人制 生野 3大会ぶり3度目、8人制 川崎 2度目の優勝

 コマチュック大会(第28回在日朝鮮初級学校学生中央サッカー大会)が、兵庫県立淡路佐野運動公園で3〜5の3日間にかけて行われた。ボールを蹴ることが好きでたまらないコマたちの「夏」は、今年もさまざまなドラマを生んだ。コマたちの喜びと笑顔、そして涙。さまざまな想い出、会場を訪れた学父母たちの声をレポートする。(文=李東浩記者、写真=文光善記者)

生野 プレッシャーに打ち勝ち

 試合会場は海のほとり。連日、30度を超える猛暑が続き、同胞らが仰ぐうちわの数と低く飛ぶトンボが気温と湿度の高さをうかがわせた。夏の風が吹き、気温以上に熱い汗が飛び交ったグラウンドは、11人制競技決勝(最終日)までに、子どもたちのうれしさ、悔しさの涙の量のせいで若干湿っているように見えた。

 大会メインイベントの11人制競技決勝。13時のキックオフとあって、灼熱の太陽が容赦なくグラウンドを照りつけた。

 決勝は「大阪勢同士」の競り合い。優勝候補というプレッシャーをはねのけ、着実に勝負をものにしてきた生野と、控え選手がおらず、「11人だけ」で勝ち進んできた中大阪の対決だ。学父母らは「勝とう! ひとつの心で」(生野)、「ウリが一番!」(中大阪)と書かれた横断幕を掲げ声を嗄らした。

生野と中大阪の11人制決勝

 試合は前半2分に動く。中大阪が中盤やや左から生野DFラインの裏にパスを通すと、走りこんだ中大阪の宋太竣選手が低めのループシュートを放ち先制。その後、このゴールを機に目が覚めた生野の波状攻撃が始まった。FK、CK、ミドルシュートなどを駆使し、大会きっての攻撃陣が中大阪ゴールを割ろうと再三再四シュートを放つ(生野は試合終了までに中大阪の約4倍のシュートを放った)。

 後半9分、生野にとって待望の同点弾は、攻撃陣を増やした(1トップを3トップに変更)直後、獲得したPKだった。これを高誠訓選手が決め同点。そして後半13分、生野は左サイドからのセンタリングを、辛隆泰選手が頭で合わせ、逆転する。

 試合終了。生野の優勝は3大会ぶり3度目となる。

 「ドリブルが得意」な姜将太選手は左サイドのスペシャリスト。将来、海外でのプレーを夢見る。「みんなが最後まで走ったので優勝できた」とほほ笑んだ。ディフェンスの要、金憲秀選手は中大阪について、「アプローチが早かったが、まっすぐに体を入れた」と回想した。チーム内得点王の辛選手は優勝後、「とてもうれしい。大会中たくさんドリブルできたし、6点も決められた」とさわやかな表情。

 埼玉戦(2日目順位別リーグ戦)をものにしたことが今大会のポイントだったと話す安相秀監督は、「今大会初めて先制され生徒の意思疎通が欠けたものの、後半に攻撃への意識、互いが声を掛け合い、落ち着きを取り戻した。(決勝で)生徒は120%の力を出し切った」。

 高誠訓主将のオモニ韓純愛さん(38)は、「優勝候補のプレッシャーは相当なものだったはず。プレッシャーに打ち勝ち、子どもたちは最後まで走り続けた。その姿を見て力を得た」と話した。

 尹亨泰副主将のオモニ梁明美さん(44)は「性格も年齢も違うけど6年生を中心に楽しく、仲良くしてきた。明日は私の誕生日。チームがいいプレゼントをしてくれたと思ってる」とほほ笑んだ。

 11人制競技は、24回大会から関西勢が5連覇中。

川崎 基礎技術の向上目指す

川崎と南武の8人制決勝

 8人制競技決勝は、川崎と南武の「神奈川勢対決」。試合開始直後、まずは川崎の徐起大選手が開始約10秒で先制点を決める。南武もすぐさま反撃に転じ、前半4分に右サイドからのセンタリングを李玄修選手がタイミングよく合わせゴール。しかし、川崎は前半10分にPKを得て1点差を取り戻した。さらにサイドからの攻撃でDFを揺さぶる川崎は、後半3分にも追加点を挙げ勝負を決めた。

 今年の川崎は、「うまい」選手よりも、「しっかりした」選手が多いという。姜熙哲監督(32)は年間を通し、徹底的に基礎技術の向上を目指した。それに加え判断力も養った。優勝後、「自分たちのサッカーをしっかりやることができ、子どもたちがホッとしている。大会期間中、強いチームとしての規律が備わった」と話した。

 また、4月末に「淡路島応援ツアー」を組んだという川崎の学父母らは、「オモニたちも緊張した。大会期間中、親同士の団結力が生まれたようだ」(任桂順さん、41)、「コマチュックは一大イベント。(川崎は)強いし、応援に力が入った」(金栄浩さん、38)と話していた。

大会結果および表彰

▲11人制

1部−@生野A中大阪B東京第2C広島
2部−@京都第2A大阪第4B東京第1C北九州
3部−@東京第9A西播B西神戸C尼崎

【1部賞】(1部に上がった学校に贈られる)

 中大阪、広島、生野、東京第2、岡山・四国合同、京都第1、名古屋、横浜、北大阪、埼玉、西大阪・泉州合同、西東京第1

▲8人制

1部−@川崎A南武B大阪福島C大阪第4
2部−@東京第6A西播B東京第1C東京第9
3部−@東京第5A名古屋B生野C豊橋

【1部賞】

 南武、大阪第4、東北・福島合同、奈良・和歌山合同、大阪福島、川崎

▲「ポンドリ」応援賞

 川崎、東京第2、西神戸

お知らせ

 在日本朝鮮人蹴球協会のホームページ(http://www.ksaj.gr.jp/)を通して「オールスポーツコミュニティ」のバナー広告をクリックすると、「コマチュック大会」の写真(2516枚)を注文することができます。パスワードは、各地域の学校に問い合わせてください。

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[朝鮮新報 2006.8.10]