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〈朝・日政府間実務会談〉 今秋まで拉致再調査、人的往来の規制など解除

並行行動の原則確認

 【瀋陽発=金志永記者】11、12の両日、中国・瀋陽で朝・日政府間実務会談が開かれた。朝・日双方は、平壌宣言にしたがって不幸な過去を清算して懸案事項を解決するため、具体的な行動をとることを確認した。朝鮮側は6月の実務会談で合意した拉致問題の再調査に関して、権限が付与された調査委員会による全面的な調査を今秋までに終了させ、その進ちょく過程について日本側に随時通報し、日本側が調査結果を直接確認できるよう協力することなどに合意した。一方、日本側は朝鮮側の調査開始と同時に、人的往来およびチャーター飛行機便の規制解除を実施することにした。

会談終了後、会見を行う宋日昊大使

 朝・日政府間実務会談2日目の12日、双方の代表はインターコンチネンタルホテルで午前9時(現地時間)から午後2時までの5時間、議論を交わした。その後、本国に協議内容を報告し訓令を受けるための時間を置いた。そして夜12時過ぎに会談を再開、合意が発表された。

 今回の会談では、拉致問題を含む朝・日関係の全般的な問題が議論された。

 朝・日政府間実務会談が開かれるのは6月以来、約2カ月ぶり。前回の会談で朝鮮側は、拉致問題の再調査実施と「よど号」関係者問題のために協力することで合意。日本側は対朝鮮制裁の部分解除を行うことにした。

 しかし日本側はその後、約束したとおりに行動しなかった。国内では拉致問題を口実に朝鮮との対決ムードをあおった。朝鮮側は今回、会談でこの問題に対する日本側の責任を追及した。

 朝鮮側が発表した合意内容によると、双方は平壌宣言にしたがって不幸な過去を清算して懸案事項を解決するため、合意にそって具体的な行動をとることを確認した。

 また双方は、互いの関心事項に関して関係の改善という見地から協議を進め、解決に向けて誠実に努力することにした。

 今回の会談における議論は、2カ月前に北京で行われた会談の合意に基づくものだ。会談では朝鮮が実施する拉致問題再調査の形式と方法、日時に関する問題が議論され具体的に確認された。

 一方日本側は、朝・日関係改善の雰囲気づくりのための措置を講じることにし、双方はこのような行動を並行してとることにした。

 会談後、日本側は記者たちに、朝鮮側が権限が付与された調査委員会による拉致被害者に関する全面的な調査を実施し、可能なかぎり今年の秋までに調査を終えるようにすると説明した。

 そして再調査の過程で、朝鮮側が調査の進ちょく状況を日本側に随時通告し、関係者の面談、関係資料の共有、関係場所に対する訪問などを通じて、日本側が調査結果を直接確認できるように協力することで合意したと明らかにした。

 また日本側の措置について、人的往来の規制解除、チャーター飛行機便の規制解除を再調査実施の時期と合わせて行うことを明らかにした。

 今回の会談では、6月の会談の合意を破った日本の言行不一致を正すことに議論の焦点がしぼられた。両者は「並行して行動をとる」という原則を合意に反映させた。日本が理由もなく言いがかりをつけ、自らがとるべき行動を先送りにすることを防ぐ対策を講じたものだと思われる。

 しかし、日本の約束違反に対する朝鮮側の憂慮が完全に払拭されたわけではない。

 宋日昊・外務省朝・日国交正常化会談担当大使は会談終了後、双方の合意発表が当初の予定より大幅に遅れ、日付が変わった13日にずれ込んだことについて、日本側が本国の訓令を待っていたためだと明らかにした。

 日本側は、この日午前と午後に協議した内容を本国に報告したが、それに対する返答が来なかったためだと朝鮮側に説明したという。日本のとるべき行動に関して再度、はっきりと確認した今回の合意を導き出す過程で、日本側の内部に葛藤があったものと思われる。

 宋日昊大使は「6月の会談では、われわれが拉致再調査を発表すれば、日本が制裁の部分解除をすることに合意したが、日本は約束を守らなかった」と語った。そして「日本が今回の合意を再び破ったりすることがあれば、(交渉は)決裂するほかない。そうなればわれわれも必要な措置を取ることになるだろう」と警告した。

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[朝鮮新報 2008.8.20]