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「全国」私学選手権大会に初出場 大阪朝高女子バレーボール部が2勝

早い展開で大健闘

 大阪朝鮮高級学校女子バレーボール部が、朝高史上初めて単独出場した第13回「全国」私立高等学校男女バレーボール選手権大会(主催=全国私立高等学校バレーボール連盟、後援=財団法人日本バレーボール協会など)で、意義ある2勝をあげた。昨年12月20日から23日にかけて町田市立総合体育館(東京都)、横浜平沼記念体育館(神奈川県)などで行われた同大会で、大阪朝高は予選リーグ4戦を2勝2敗とした。しかし予選敗退となり、惜しくも決勝トーナメント進出はならなかった。連盟関係者は、大会を大いに沸かせた大阪朝高を高く評価していた。

各地の強豪相手に善戦

初の「全国」舞台で善戦した大阪朝高選手

 各地の予選を勝ち抜いた80校で争われた女子大会は、10チームずつを8つのグループに分け予選リーグ、決勝トーナメントを行った。

 グループGに属した大阪朝高選手の平均身長は約164センチ(優勝した下北沢成徳高は約170センチ)と低めだが、2セッターで3枚のスパイカーをおき早いバレーを展開した。

 予選リーグの第1戦、宮崎日本大高(宮崎)との試合では、同胞の大きな声援を受けて緊張が解けたのか、伸び伸びとしたプレーを展開した。第1セットではペースをつかみ先取したが、2、3セットを落とし敗れた。しかし、宮崎県の県大会決勝常連校に善戦した。

 第2戦では、春高バレーの常連校、進徳女子高(広島)を相手に貴重な1勝をあげた。広島のトップチームである進徳女子高は、1戦目の宮崎日大高よりも「やや強かった」(チーム関係者談)が、アタックがよく決まりセットカウント2−1(25−23、16−25、31−29)でチームの目標だった1勝を手にした。

 大会2日目の第3戦では「全国大会」の常連校、札幌大谷高(北海道)と対戦。「当たって砕けろ」の精神で臨み、大金星を挙げた。セットカウント2−1(26−28、25−23、25−21)で2勝目を挙げた。相手チームは背が高く迫力があった。しかし大阪朝高は、相手のブロックを外して思い切って打つだけではなく、冷静に空いているスペースを突くとともに、レシーブもしっかりとできていた。選手らはリーグ実力ナンバーワン校に勝ったことで、やや興奮しながらも確かな手ごたえを得ていた。

大阪朝高は早いバレーを披露した(写真は実践学園高戦)

 大会最終の第4戦、東京の実力校である実践学園高との試合は、朝高が勝てば大会ベスト16という試合だった。惜しくも敗れたが、選手らは笑顔で大会を終えた。

 結局、大阪朝高は4校とのリーグ戦を2勝2敗とした。グループGの5校が2勝2敗で並んだが、大阪朝高は獲得したセット数などの差で決勝トーナメント進出を逃した。

 在日本朝鮮人東京都体育協会の林健吉副会長兼理事長は、対戦相手のほとんどが各都道府県の強豪校であったにもかかわらず、大阪朝高は大健闘したと評価。低い身長を補うためにスタミナをつけ、動き回ることによって味方をしっかりとフォローし相手を翻弄する早いバレーが機能していたと指摘した。

 また、宮崎日本大高の大田原純一監督は「大阪朝高はチームとしてまとまっていた。元気があるし、みんな一生懸命ではじけていた。これこそ本来チームとしてあるべき姿。応援団もすごかった。バレーの試合で、あのような良い雰囲気を作ることはとても大事なこと」だと述べた。

目標だった1勝をあげ大喜び

 一方、私学連盟の関係者は、「大阪朝高はすばらしかった。大健闘だ。応援もすごかった。連盟の理事長は『朝鮮学校も分け隔てなく参加してもらいたい』と発言しており、来年以降もぜひがんばってもらいたい」と総括した。

 「全国」私学大会出場までは険しい道のりがある。近畿地区からは今大会に16チーム(うち2チームは前年度優勝、本部推薦)が参加。近畿6府県の各予選大会で優勝した6チームは自動的に本大会出場が決まり、2位以下のチームが近畿ブロック予選大会に出場し、4つのリーグ2位までの8チームが本大会に出場する。

 厳しい予選を勝ち抜き本大会に出場した大阪朝高は、新チーム始動時に1、2年生あわせて7人という部員数だった。そのため、選手たちは自身のポジションについて徹底して研究したという。

同胞の「温もり」が力に

学父母の音頭で赤いメガホンを持ち大声援を送る同胞たち

 チームの要、金香仙主将(高3、セッター兼センター)は、「たくさんの同胞が応援してくれた。感動している」と他選手らの声も代弁しながら、「かつて、先輩たちが『全国大会』に出られなかったことを考えると、私たちは幸せ。先輩たちの悔しさを私たちが晴らせたかもしれない。今大会の2勝はそんな同胞みんなの願いがこもったものだったと思う」と感激しきりだった。

 抜群の反応と掛け声でチームを盛り上げたアタッカー出身のリベロ、金順蓮選手(高3)は「楽しくプレーできた。1勝したときは夢のようだった」と微笑んだ。初めての「全国」舞台を前に緊張していたが、それをほぐしてくれたのは、同胞の声援だった。「自分たちの力だけで2勝できたのではない。神奈川をはじめとするたくさんの同胞の応援のおかげ」と語った。

 鄭由美選手(高2、ライト)は、平均身長が低いチームとして、どのように攻めるのかという点を追求してきたチームの戦術を再認識していた。チームの自慢は? という質問に「少ない部員だけど、チームワークだけはどこにも負けない。一緒に厳しい練習を乗り越えてきたのだから」と応えた。

 神奈川朝鮮中高級学校のオモニ会会長を務める金得子さん(48)は大会期間中、朝高生の一挙手一投足に注目し、その雄姿を目に焼き付けていた。「神奈川にくると聞き、なにかしてあげたいと思った。こんなに可愛い子たちが来てくれて、私たちがありがとうと言いたい気分」と奮闘ぶりに涙していた。神奈川中高オモニ会は、試合前日にトックを振舞ったという。

 神奈川県下オモニバレーボール部の同胞女性らも熱い声援を送った。南武からかけつけた千和子さん(46)は、茨城朝鮮初中高級学校バレーボール部出身で現在も南武オモニバレーボール部に所属する。「私たちの学生時代、大会といえば中央大会。今ではこんなに大きな大会に出られる。大阪府を代表しがんばっていた姿から、とても大きな感動をもらった」と話した。

 「『全国の扉』を開いた。1勝という目標も達成した。かつて悔しい思いをした部の先輩、そしてわれわれ在日同胞を代表して戦ってくれた」

 選手の親、たくさんの同胞とともに連日声をからしていた金香仙主将のオモニ、朴貴英さん(46)は大会前夜に振舞ってもらった神奈川中高オモニ会のトック、宿舎と会場間移動時の神奈川中高のバス提供、朝大、朝中高生の応援など、たくさんの「温もり」が子どもたちの力の源となったと謝意を表した。

 試合会場には連日、大阪朝高を応援する横断幕も掲げられ、400余人の同胞が会場を訪れた。(李東浩記者)

「手の届く大会」に 大阪朝高・朴慶雅監督

【解説】 意義ある「全国」大会出場

[朝鮮新報 2009.1.7]