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〈多民族共生教育フォーラム2006愛知〉 外国籍の子どもに学ぶ権利を

外国人学校協議会を愛知にも

 多民族共生教育フォーラム2006愛知(代表=駒井洋・中京女子大学教授・筑波大学名誉教授)が12日、名古屋国際センターで行われ、日本各地の外国人学校から約400人が参加した。国際条約が認める母(国)語や自国の文化を学ぶ権利の保障を求めていこうと開かれたフォーラムでは、外国人学校の法的地位向上をめざす運動について各地の経験が報告された。

ブラジル学校の急増

名古屋朝鮮初級学校の児童は朝鮮舞踊「花を咲かせましょう」を披露した

 フォーラムは昨年9月の神戸に続くもので、ブラジル学校が急増する東海地方での開催となった。主催者を代表してあいさつをした駒井教授は、「外国人の子どもは、日本の学校に通うほかに外国人学校、民族学校にも通っているが、その運営はきわめて難しい状況にある。原因は日本の国が教育を受ける義務は日本国民だけでよいという姿勢を貫いているためだ」と話し、フォーラムを問題解決の一助にしようと語った。

 近藤昭一衆議院議員、中上優・愛知県地域振興部国際監、ジェラルド・アフォンソ・ムジ・在名古屋ブラジル連邦共和国総領事らが来ひんのあいさつを行った。

 会議は午前10時から午後6時半までの長丁場。第1部では、「外国人学校、民族学校の制度的保障を実現するネットワーク」事務局長の張學錬弁護士による基調報告に続き、ブラジル人学校協議会のマリア・シズコ・よしだ副会長、兵庫県外国人学校協議会の朴成必事務局長、静岡県外国人学校協議会の朴栄基事務局長、愛知フォーラム事務局長の稲森幸一弁護士が持ち場での活動を報告した。

 また、特別プログラムとして、名古屋朝鮮初級学校、愛知朝鮮中高級学校、名古屋韓国学校、セントロ・エドカショナル・ソリソ・デ・クリアンシァの児童、生徒による歌や踊り、農楽が披露された。

朝鮮、韓国、比学校も

静岡県のセントロ・エドカショナル・ソリン・デ・クリアンシャの児童は歌と踊りを披露した

 1990年に改正「出入国管理及び難民認定法」が施行されたあと、ブラジルから来日する人は増え続けており、愛知県には日本で最多の7万1004人が暮らしている。次いで静岡県、三重県、岐阜県と東海地方は際立っている(2005年末現在「在留外国人統計」)。

 第2部では、東海地方の外国人学校、民族学校の紹介があり、非正規滞在のフィリピンの子どもが通う国際子ども学校の池住圭校長、名古屋韓国学校の尹大辰校長、愛知朝鮮中高級学校の張浩美教員、岐阜県のブラジル学校で今年各種学校認可を申請したHIRO学園の川瀬充弘学長が報告を行った。

 フォーラムには群馬から沖縄に至る20校以上の外国人学校が参加したが、校舎が狭く教室や運動場が不足していること、土地を購入しようとしても外国人であるため融資を受けられない、教員育成システムがないので教員の質を確保できない、慢性的な経営難に置かれている−など、現場の窮状について教員たちが次々と手をあげて訴えていた。

 春日井市の東春朝鮮初級学校の教員は、日本の公立学校に比べて学費がかかるため、会社の倒産により三人目の子どもを泣く泣く日本学校に送った保護者の事例を語るなど、法制度の不備により、外国籍の子どもが自己につながる文化を学べずにいる現状が浮き彫りになった。

第3部のパネルディスカッション「外国人学校、民族学校を取り巻く現状と課題」(12日、名古屋国際センター)

 第3部はまとめのパネルディスカッション。丹羽雅雄弁護士の司会のもと、田中宏龍谷大学特任教授、文光喜愛知朝鮮学園理事長、エスコーラ・サンパウロのパウロ・ガルヴォン校長、横浜山手中華学校の潘民生校長をパネリストに迎え外国人学校が直面する課題について話し合った。

 潘校長は、「学齢期にある中国籍の子どもの大多数は日本学校に通っている。日本には5校の中華学校があるがこれでは限界。教育の機会を広げたいが、寄付金の優遇税制はインターナショナルスクールにしか認められていない。法改正しないかぎりこの問題は永遠に解決されない」と述べ、今年3月に東京、神奈川の朝鮮学園とともに、日本弁護士連合会に人権救済申し立てを行ったことを報告した。

 パネルディスカッションでは、朝鮮学校の文理事長とパウロ校長が兵庫、静岡に続き愛知県でも外国人学校協議会を設立することを握手で確認した。

制度保障実現するネットワーク結成

 11日には、「外国人学校、民族学校の制度的保障を実現するネットワーク」が結成され、共同代表に林同春・兵庫県外国人学校協議会会長と田中宏教授、事務局長に張學錬弁護士が選出された。同ネットワークは、外国人学校の制度的保障を実現するため、短中長期的な戦略を立て、文部科学省や国会への要請、弁護士、NGO、日本学校教員との連携を重ねていくという。(張慧純記者)

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[朝鮮新報 2006.11.20]