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〈第84回全国高校サッカー選手権大会〉 大阪朝高 破竹の3連勝 ベスト8入り、歴史に1ページ刻む

喜び爆発させる応援の同胞ら

 昨年12月30日から始まった第84回全国高校サッカー選手権大会。大阪府代表として出場した大阪朝鮮高級学校は破竹の3連勝でベスト8入りを果たした。12月31日の初戦、西目高校(秋田県代表)を1−0で破り、歴史的な1勝を挙げたあと、2日の2回戦岐阜工業高校を3−0で突破し、3日の3回戦、優勝候補の強豪・国見高校も後半、執念で1点をもぎ取り劇的な勝利を収めた。予想外の快進撃に同胞らは喜びを爆発させた。「自分たちがやってきたことはまちがいじゃなかった」と勝利をかみ締めるDF安泰成主将。歴史の1ページを刻み続けるチームは1試合ごとに成長を続けている。【本社取材班=文−金明c、李東浩記者、写真−文光善、姜鐘錫記者】

対西目高校戦

後半1分、技ありのミドルシュートを決めた趙栄志選手(12月31日、対西目高校戦)

 秋田県代表の西目高校との初戦。赤と青のストライプのユニフォーム姿の大阪朝高イレブンが入場すると、ひときわ大きな声援が会場を包んだ。地元大阪はもちろんのこと、全国各地から集まった約2000人の同胞らは手に手に旗を持ち、首に赤いタオルを巻いて応援した。総連中央の徐萬述議長、許宗萬責任副議長らも共に声援を送った。

 前半は0−0。会場がどよめいたのは後半開始1分だった。

 FW趙栄志選手が相手陣地の右サイド中央付近でもらったボールを、キーパーの位置を見てすかさず右足で蹴りぬいた。ボールは弧を描いてゴールキーパーの頭上を越えた。ジャンプするキーパーの手は届かずゴールネットが揺れた。

 「もう入った?!」。会場からはこんな声が聞こえた。ハーフタイムで休憩に入り、ゴールシーンを見逃す同胞らが多かった。

 「決めたぞ!」と両手の親指を胸の番号に当て、同胞らにアピールする趙選手。小柄ながら相手DFを乱す素早い動きで、攻撃陣のリズムを生んだ初戦のキーマンだった。

 俄然勢いに乗った大阪朝高は、その後1点を守りきり、朝高勢としては初の歴史的1勝をかざった。

 西目高校の畠山啓監督は、「迫力ある大阪朝高の攻撃に対し、いかに臆することなく挑むかがうちのポイントだった。後半、失点後は相手の素早いプレッシャーにパスをつなげることができず、思うように攻撃の形を組み立てることができなかった」と語った。

対岐阜工業、国見戦

2点目を決めた19番梁正成選手(2日、対岐阜工業戦)

 2回戦、大阪朝高の攻撃陣が爆発した。再三のサイド攻撃で相手ゴールに迫った大阪朝高が前半にMF梁泰雄、FW梁正成選手のゴールで前半を2−0で折り返した。後半には途中出場したFW朴治宣選手が豪快なヘディングシュートを決め、3−0で圧勝した。

 そして迎えた強豪・国見との3回戦。

 「相手は常勝チームで王者、うちは挑戦者。失うものは何もない。全力で戦おう」。康監督は選手たちにこうハッパをかけた。

決勝ゴールを決めた14番梁泰雄選手の果敢なドリブル(3日、対国見高校戦)

 試合は強風が吹く中、前半風下に立った大阪朝高はロングフィードからサイド攻撃を仕掛ける国見の攻撃に苦しんだ。相手のヘディングシュートがクロスバーに当たるなどの幸運もあったが、劣勢をGK朴寛明選手のファインセーブで前半を0−0で乗り切った。

 後半、風上に立つと大阪朝高の攻撃のリズムがガラリと変わった。後半から出場した朴治宣選手の気迫あふれるプレーもチーム内に活気を与えた。

 後半33分、朴治宣選手の右サイドの巧みなドリブル突破から、ゴール前中央でフリーになった梁正成選手にボールが渡り右足でシュート。相手ゴールキーパーがはじいたボールを後ろから走りこんできた梁泰雄選手が押し込み、値千金の決勝ゴールを決めた。

試合終了のホイッスル、感極まる応援席

 残り7分。最後まで粘り強く1点を守りきった大阪朝高が勝利をものにした。

 逆にピッチにうなだれる国見の選手ら。全国高校総体、全日本ユース選手権の出場を逃し、今季のチームは今大会が全国大会初経験だった。プレッシャーが重くのしかかっていたのかもしれない。

 MF田中信也選手(2年)は、「体を張ったプレーや気持ちで負けていた」と試合を振り返った。

 小嶺忠敏総監督は「風上の前半で点を取れなかったのが響いた。大阪朝鮮は守備も攻撃もよかった。フィジカルも強いしがんばれる」と語った。(金明c記者)

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[朝鮮新報 2006.1.5]